Rockstar Games共同創設者で『グランド・セフト・オート』シリーズの中心人物であるダン・ハウザー氏が、Channel 4の番組「Sunday Brunch」に出演し、ゲーム業界の行方について語りました。業界は「面白い方向」か「金儲けに過度に偏った方向」という二つの道へ進み得ると指摘し、その岐路にあるとの見方を示しています。
ダン・ハウザー氏、ゲーム業界の将来を語る
ダン・ハウザー氏は、Rockstar Gamesの共同創設者として『グランド・セフト・オート』や『レッド・デッド・リデンプション2』の物語を牽引してきた脚本家であり、AAAタイトルにおけるストーリーテリングの象徴的存在です。現在はRockstarを離れ、開発中の『GTA6』にも参加していませんが、その発言は依然として業界に強い影響力を持ちます。
Channel 4のバラエティ番組『Sunday Brunch』に出演した同氏は、過去作や今後のプロジェクトについて語る中で、「ゲームはこれからどこへ向かうのか」という質問を受けました。これに対し、ゲーム業界は「とても面白い方向へ進むか、金儲けに過度に偏った方向へ進むかという二つの道のどちらかに振れていく可能性がある」といった趣旨の発言をし、いま大きな分岐点にあるとの考えを示しています。
「両方が勝つ」──商業と創造性の共存を予測
ダン・ハウザー氏はさらに、「あらゆる商業的な芸術表現には、お金のことに気を取られてしまう危険が常にある」とも語りました。その一方で、「それでも、こうした“生きている物語体験”を生み出そうとする創造的なシーンは、今も大きく残っている」と強調し、ゲームというメディアのポテンシャル自体は失われていないとしています。
そのうえで氏は、「最終的にはどちらの道も勝つことになるだろう。二つの道が並行して存在するようになると思う」とも述べています。金儲けを最優先するビジネス主導の路線と、物語性や表現を重視するクリエイティブな路線という二つの道が並行して伸びていき、どちらか一方ではなく「両方が勝つ」未来になるという見通しです。すでにゲーム業界の一部では、その二つの路線が共存し、それぞれのやり方で成功している例が見られるとも示唆しました。
近年のゲーム市場を見ると、売上や長期運営を最優先した大型タイトルが目立つ一方で、『Hades II』のように早期アクセスの段階から高い評価を得る作品や、『Hollow Knight: Silksong』のように表現への期待が集まるインディー続編もあります。
つまり、稼ぐことを優先する路線と、創造性を前面に出す路線のどちらもが、同じ時期に存在感を高めている状況です。ハウザー氏の語った「二つの道がどちらも勝つ」という見方は、こうした現状とも重なります。




