イースト・プレスは11月18日、ゲームクリエイター・桜井政博氏の歩みを描いた学習マンガ『まんがで知る人と仕事 桜井政博 ゲームで世界をもっと楽しく』を発売しました。Game*Sparkが公開したメールインタビューでは、桜井氏が一度はマンガ化のオファーを断っていたことや、「ネットのおもちゃはご免」と語るインターネット露出へのスタンスが明かされています。
書籍の概要
本書は、「まんがで知る人と仕事」シリーズの一冊で、桜井氏の少年時代からゲーム開発の現場までを描いた内容になっています。『星のカービィ』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズの企画・制作で知られる同氏の仕事観や、タイトル制作の裏側に触れられる構成です。(書籍公式ページ)
「ネットのおもちゃはご免」 オファーを一度は辞退
メールインタビューの中で桜井氏は、自身の露出について「控えめに目立たず生きていきたい」と話し、こう続けています。
「自分自身を売ったり出したりするのは控えたい性格です。ネットのおもちゃにされるのもご免ですね」
YouTubeチャンネル「桜井政博のゲーム作るには」での発信など、表舞台に立つ機会は多い一方で、本人が“ネタ”として消費されることには慎重な姿勢を示している形です。
実際、約1年半前に今回の学習マンガ企画の打診を受けた際には、いったんオファーを断ったといいます。その後、担当編集者の働きかけもあり、最終的には監修を引き受けることになりました。
ネームから帯まで「即日戻し」 徹底した監修体制
一度引き受けた以上は徹底してかかわる——。編集担当の大角麟太郎氏によると、桜井氏は多忙な業務の合間を縫い、マンガのネーム(下書き)から表紙デザイン、帯文、コラムに至るまで確認を行ったといいます。
とりわけ印象的だったのは、そのスピード感だといいます。大角氏はインタビューで、次のように振り返っています。
「こちらから確認物をお送りしたその日中には必ず戻しをいただけるという、驚異的な監修スピードにいつも驚かされました」
こうしたチェックの積み重ねにより、作中の描写は桜井氏自身が「謎のディテール」と形容するほど細部まで作り込まれました。仕事場のレイアウトやキーボード、エアロバイクといった私物に加え、愛車や飼い猫なども、実物に近い形で再現されているとしています。
「まずは小さくても1本完成させて」 志望者に向けたメッセージ
本書は、「ゲーム業界を目指す人が少しでも増えること」を目的として企画された学習マンガでもあります。業界を志す学生や若者に向けて、桜井氏は次のように助言しています。
「とにかく、ゲームを作って完成させることがもっとも近道です。なんでもいいから、とにかく作る。あまり規模が大きいものではなく、小さいものを、遊べる形で完成させる」
そのうえで、
「それすらできないのであれば、スタートラインにも立てないのだと思ってもらってよい」
と、完成までたどり着くことの重要性を強調しています。
アイデアを語るだけで終わらせず、小さくても一本の作品として形にすること。その繰り返しがクリエイターとしての土台になる——というのが、桜井氏のメッセージです。




