2026年3月12日に発売された『零 ~紅い蝶~ REMAKE』(Nintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S/PC〈Steam〉)について、ファミ通が本日公開したインタビューで、ディレクターの柴田誠氏と中島秀彦氏が開発の背景を語っている。柴田氏はシリーズ初代から全作品のディレクターを務めており、今回のリメイクでは「迷い」「難度」「セクシー要素」という3つの設計方針を20年越しの認識変化を経て転換したと語っている。開発はTeam NINJAが担当し、企画は2023年夏ごろに始まり、2023年末に『紅い蝶』のリメイクが決定、2024年春から本格化した。
セクシー要素は「怖さの薄まるボーナスアイテム」だった——コンセプト純化の決断
柴田氏によると、過去の『零』シリーズではコスプレ的な衣装など、恐怖を和らげるセクシー要素が取り入れられていた。こうした要素は怖さを薄めるボーナスアイテムのようなもので、当時のホラーゲームではよく見られたものだったと振り返っている。
本作ではそうした要素に頼らず、シリーズが本来掲げてきた”幻想的で美しい世界の恐怖”というコンセプトに立ち返り、和風ホラーとしてのクオリティを高めることに特化したという。なお、限定版のDLCではコスプレ的な衣装も用意されている。過去シリーズの要素を求めるファンがいることも理解したうえで、新しいプレイヤーにシリーズのメインとなるカラー・特徴を届けたいという思いも、この判断を後押ししたと柴田氏は説明している。
「難しければ喜ばれると思っていた」——シリーズを重ねて気づいた難度の落とし穴
難度設計についても、柴田氏の認識は大きく変わっている。シリーズ1作目では「とにかく怖ければいいだろう」と考え、ゲームとしての難しさも歓迎されると思っていたという。しかしシリーズを重ねるなかで、難度が高すぎると物語の真相を知る前にプレイヤーが離脱してしまうことに気づいた。
柴田氏は、真相を知ることを諦めてしまうプレイヤーもいるとしたうえで、「死ぬかもしれないという体験はしたいけれども本当に死にたいわけではないと言いますか」と語り、ピンチ的な演出は盛り込みつつも、そのピンチを覆せる仕組みを導入した。新要素の霊力ゲージもその一環で、怨霊の攻撃で霊力がゼロになっても体力が減るわけではなく、カウンターで切り返すこともできる。ピンチの演出を増やしつつ、そこから覆せる仕組みにすることで、緊張感と遊びやすさの両立を図っている。なお霊力ゲージはオリジナル版でも途中まで導入していたが、当時はふたつのゲージが複雑だったと柴田氏は振り返っている。ただし現在ではスタミナゲージのようなシステムも珍しくなくなったことから、今回改めて採用に踏み切ったという。
「迷うのも怖くて楽しい」から目的地表示へ——親切さと恐怖のはざまで
遊びやすさの再設計について、柴田氏はオリジナル版の設計思想をこう振り返っている。「迷うのも怖くて楽しいという設計でした。つぎに何をすればいいのか、幽霊におびえながら探すという手法も当時は当たり前だったんです」。だが現在のプレイヤーは行き先がわからないとゲームをやめてしまうと考え、目的地を明示する方針に転換した。
ただし親切にしすぎるとナビ表示などで怖さが薄れるというトレードオフがある。柴田氏はこの点を慎重に調整したと語っている。もうひとりのディレクターである中島秀彦氏も「昨今のホラーゲームは行き先が表示されてもそれを不満に思うような声も少ない」と述べ、ゲーム操作面は遊びやすさを重視し、恐怖は別の要素で引き立てる調整を進めたと説明している。
ただしメインストーリーの進行を明確にすると、脇道に行く理由がアイテム探索以外になくなるという課題もあった。そこで柴田氏は新要素「サイドストーリー」を導入している。幽霊たちの物語を深掘りする内容で、プレイヤーの自主的な探索を促す狙いがある。
なお、『SILENT HILL f』との相互コラボも発表されている。2026年1月28日にコーエーテクモとSILENT HILL公式から発表されたもので、無償DLCでコラボ衣装が配信される予定だ。柴田氏はこのコラボを「ユニフォーム交換」と表現し、主人公たちの衣装が両作品に登場すると述べている。詳細は未公開だ。
シリーズの今後について柴田氏は、今回のリメイクで「現世代機で怖さを表現できる基本となったシステムを構築できた」と手応えを語り、「別の題材、別の世界だったらこうしたい」との展望にも触れている。ただし確定した計画ではなく、まずは本作が広く受け入れられることを願っているとのことだ。
※本記事はファミ通の報道をもとに、関連情報を加えて再構成しています



