任天堂の「スーパーマリオ」シリーズ生みの親である宮本茂氏が、デザイン誌「Casa BRUTUS No.308」(発行:マガジンハウス / 発売日:11月8日)のインタビューで、歴代マリオ作品への関わり方や、“マリオらしさ”の定義、そしてNintendo SwitchからNintendo Switch 2へと移行した新時代における今後の展開について語りました。 インタビューでは、開発の第一線から一歩引いた現在でも、シリーズの根幹部分には自ら目を通し続けている姿勢がうかがえます。

ディレクターとプロデューサーの役割と、「最初の30分」チェック
歴代のマリオ作品にどう関わってきたのかという問いに対し、宮本氏はまず、ディレクターとプロデューサーの役割を自身の中で明確に分けていると説明。ディレクターはひとつのタイトルに集中する選任、プロデューサーは複数タイトルを同時に俯瞰的に見る兼務である、と述べました。
そのうえで、マリオやゼルダのゲーム作りで大切にしているのは、プレイヤー側の「考える余地」だと強調します。
「マリオやゼルダのゲームは、常に遊ぶ人自身が考えたり想像したりして、それを試すことが大事。ですから、いつも遊ぶ人がクリエイティブになれるように心がけて作っています」
現在は、マリオの世界観を維持してくれる仲間に多くを任せているものの、「ここだけは自分で見る」というラインも明確です。ゲームの「最初の30分」と「インターフェースの操作性」だけは、今も自ら完璧にチェックし、「マリオらしくなっているかな?」と確認していることを明かしました。
“マリオらしさ”は「ひと目で分かるユニークさ」
では、その「マリオらしさ」とは何か。 チームのメンバーに対して、どのように言葉で共有しているのかを問われると、宮本氏は少し笑いを交えながら、次のように語ります。
「その話をずっとしているんですけど(笑)。でも、ひと目見て分かるかどうか、ユニークか、という点はありそうかなと思います」
ここで挙げられているのは、
- ひと目見て「マリオだ」とわかること
- 他にはない“ユニークさ”を持っていること
という2つのポイントです。
グラフィックのテイストやキャラクターの造形だけでなく、遊びの手触りやインターフェースも含めて、「マリオだと一瞬でわかるかどうか」「他のタイトルと取り違えない個性があるかどうか」が、シリーズ共通の判断基準になっていると読み取れます。
Switchで「やり尽くせた」感覚と、Switch 2での新たな挑戦
今後マリオで挑戦してみたいことについて問われると、宮本氏はまず、テーマパークや映画といったゲーム外への展開に触れ、「これからの展開も楽しみです」と前向きな姿勢を見せました。
そして、ゲーム開発の面では、Nintendo Switchについて次のように振り返ります。
「『スーパーマリオ オデッセイ』までで、Switchでやれることはやり尽くせた感はあります」
この手応えを得ているとしたうえで、「これまでも新しいゲーム機が出たら新作を出していますから、今のチームがどう対応してくれるのかな?」と、シリーズの歴史を踏まえつつ、Switch 2での展開への期待を語りました。そして、「『僕はもう見ないぞ!』なんて(笑)。マリオの50周年まで元気でいたいですかね!」と、ユーモアを交えながら締めくくっています。




