2026年3月5日発売予定のNintendo Switch 2用ソフト『ぽこ あ ポケモン』について、コンセプト&シニアディレクターの大森滋氏(ゲームフリーク)ら開発陣4名がファミ通.comのインタビューに応じました。ポケモン初のスローライフ・サンドボックスゲームである本作は、メタモンを主人公にポケモンたちと街を作りながら暮らしていくタイトルです。インタビューでは、従来の『ポケットモンスター』シリーズでデザインに不可欠だった”強さ”の要素をあえて外し、まったく異なる切り口でポケモンたちの姿を描き直した経緯が語られています。
“強さ”の制約を外した新たなデザイン思想
大森氏は、従来の『ポケットモンスター』シリーズにおけるポケモンデザインの特徴に触れています。シリーズではデザインを考える際にどうしても”強さ”が要素として入ってくるといい、たとえば進化前より進化後の姿が強いことがわかるように、RPGとしての要素がデザインに反映されてきたと説明しました。
本作では大森氏がそうした制約とはまったく別の視点を採用しています。
「ニンゲンたちがいなくなってしまった世界で、長いあいだのんびり暮らしていたらどうなってしまうのか」を考えて、ゲームフリークのデザイナーに描いてもらいました。モジャンボはずーっとひとりで考え事をしているうちに博士みたいになっていったんじゃないかなとか。ピカチュウはでんきを使い果たして色が薄くなってしまうかもしれないとか。 ——ファミ通.comより
こうしたアプローチから生まれたのが、モジャンボ(はかせ)やピカチュウ(うすいろ)といった「ちょっぴりかわったすがた」のポケモンたちです。
開発チームが受けた衝撃──”薄幸ピカチュウ”の誕生
本作のポケモンデザインはすべてゲームフリークが手がけました。コーエーテクモゲームスのチーフディレクター・枝川拓人氏は、初めてデザインを見たとき、とくにピカチュウ(うすいろ)の儚げで幸薄そうな感じが印象的だったと振り返っています。開発チーム内部では”薄幸ピカチュウ”という呼び名が定着していたとのことです。




アートディレクターの綾野万里奈氏は、ぼんやり光っているようにも見えることから「発光とのダブルミーニングで」と笑いつつ、ポケモンたちどうしの会話が見られる世界観だからこそ活きるデザインだと評しました。チーム内のデザイナーたちのあいだでも「これは新しい波が来るぞ……!」とざわついていたといいます。
プロデューサーの村田佳奈子氏(株式会社ポケモン)も、30年間ポケモンを代表してきたピカチュウがまったく新しい魅力を見せてくれたことへの驚きを口にし、「こんなかわいさを、まだ秘めていたなんて」と語りました。
企画の種は『ルビー・サファイア』時代の原体験
本作の着想について、大森氏は次のように明かしています。
「私が2001年にゲームフリークに入社して初めて担当したのが、『ポケットモンスター ルビー・サファイア』のマップに草むらを配置するという仕事でした。ゲームの制作でエディタのようなものを使うのですが、自分が草むらを置くと、その地域に生息するポケモンが飛び出してくるんです。これが作り手側でありながらも、非常におもしろいなと感じていて。その体験をユーザーさんにもしてもらえるような、自分だけのポケモンの世界を作れるゲームを作りたいと思っていました。」 ——ファミ通.comより
大森氏は入社後、『オメガルビー・アルファサファイア』(2014年)で初めてディレクターを務め、『サン・ムーン』『ソード・シールド』『スカーレット・バイオレット』と本編シリーズのディレクターを歴任してきた人物です。現在はゲームフリーク取締役・開発本部長の立場にあります。
企画が具体的に動き出したのは『スカーレット・バイオレット』の開発が終わったくらいのタイミングでした。大森氏は3人程度の小規模チームで試作を開始し、イメージPVも制作。半年後くらいに株式会社ポケモンへプレゼンを行っています。この時点でスローライフ・サンドボックスというコンセプトやメタモンが主人公であること、世界観やアートのイメージもある程度できあがっていたといいます。
ゲームフリークにはサンドボックスゲームの開発ノウハウがほとんどなく、大森氏自身もそれを課題として認識していました。株式会社ポケモンの村田氏を通じ、サンドボックスゲームの制作経験を持つコーエーテクモゲームスに開発パートナーとしての依頼がなされています。両社には2012年にニンテンドーDS用シミュレーション『ポケモン+ノブナガの野望』を共同制作した実績がありますが、村田氏は今回の依頼について「あくまでも本作にとってのベストなパートナーとして」依頼したと説明しました。
本格的な開発に先立ち、大森氏の提案で3〜4ヵ月をかけた認識すり合わせの期間が設けられました。枝川氏はこのすり合わせがあったからこそ中盤以降もブレずに制作できたと振り返っています。開発はコーエーテクモゲームスのω-Force(オメガフォース)チームが中心となり、株式会社ポケモン、ゲームフリーク、コーエーテクモゲームスの3社共同で進められました。
マルチプレイの目玉”クラウドじま”と遊びの仕様
本作にはマルチプレイの特徴的なシステムとして”クラウドじま”が用意されています。枝川氏によると、ホスト(島の持ち主)がプレイ中でなくてもほかのプレイヤーが自由に入って遊べる仕組みです。それぞれが空いた時間にちょっとずつ協力して島を発展させていけるとのことで、同時プレイは4人まで可能、入れ替わりで参加する場合の人数制限はありません。
おすそわけ通信にも対応しており、ソフトを持っているプレイヤーがおすそわけ通信を行うことで、ソフトを持っていないプレイヤーともマルチプレイが楽しめます。ただし、おすそわけ通信ではストーリーを遊ぶことはできず、”まっさらな街”の発展を楽しむ形となります。一部仕様に制限がある点には注意が必要です。
ボリュームについては、枝川氏がストーリーのエンディング的なところまで20〜40時間くらいでたどり着く人が多いのではないかと想定していると語りました。ただしプレイヤーの遊びかたによってかなりばらつきがある前提で、ポケモンたちといっしょに暮らすことをメインに際限なく遊んでもらえるものと開発陣は考えています。
※本記事はファミ通.comの開発者インタビューをもとに、関連情報を加えて再構成しています
出典
- ファミ通.com:【ぽこポケ】『ぽこ あ ポケモン』開発インタビュー。大森滋氏が『ポケットモンスター』開発時に”マップに草むらを置いた”経験から生まれた! コーエーテクモゲームスと開発をともにした経緯、ボリューム、マルチプレイの仕様など超深堀り!
- 『ぽこ あ ポケモン』公式サイト:トップページ
- ポケモンWiki:大森滋




