LEVEL5日野社長「8~9割はAI」発言を釈明──未発表タイトルの事例が“拡大して伝わった”と説明

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レベルファイブ代表の日野晃博氏は2025年12月26日、Xで「レベルファイブでは、80%~90%のプログラムコードをAIに書かせている、というのは大きな間違いです」と否定しました。AIをテーマにした未発表タイトルに関する事例が、拡大して伝わったと説明しています。一方、当時の講演内容を伝えた複数の媒体記事では、「未発表タイトルに限る」といった限定条件は明記されていません。

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「8~9割はAI」発言の経緯

これについて日野氏は2025年12月26日の投稿で、当時の話は会社全体の実態を指したものではないと説明しています。社内には「AIをテーマにした未発表タイトル」があり、そのタイトルに限って「(実験的に)あえてプログラムもAIで作っている」と話したプログラマーがいたというのです。日野氏がその例を挙げて「これからはそんな時代が来るのかも」と語ったところ、文脈が外れ、“8~9割がAI”という話として広がったとしています。

発端は2025年5月2日のファミ通記事です。同記事は日野氏のメッセージとして、「現在のプログラミングは、コードの8~9割をまずAIに書かせて、それを人間のプログラマーが修正して最終形にしている」と掲載しました。この一文だけでは、“AIに書かせている割合”がレベルファイブ全体の話なのか、特定の案件の話なのかは判然としません。少なくとも記事中に、「未発表タイトルに限る」といった条件は明記されていません。

同様の内容は、TGCA入学式を報じた電ファミニコゲーマーの記事にも見られます。電ファミニコゲーマーは「プログラムについても、最初の8~9割をAIにコードを書かせて、それを人間が修正して最終形態にしていく」と伝えていますが、ここでも「未発表タイトルに限る」といった限定条件は明記されていません。今回の日野氏の投稿は、そうした点も含めて説明を補足したものと言えます。

日野氏はあわせて、「逆に80%~90%のコードをAIで作成し、ゲームがつくれているのであれば、逆にすごくてAI界隈の人達から引っ張りだこになってしまう」「まだその域には到達できていません」とも述べています。

海外での賞剥奪が議論を再燃させた背景

日野氏の投稿は、まず海外の出来事に触れるところから始まっています。日野氏は「とあるゲーム開発者がAIを使っていたことによって、賞をはく奪された、という一件から」と述べており、これが今回あらためて説明するきっかけになったことがうかがえます。

投稿中で日野氏が具体名を挙げているわけではありませんが、Sandfall Interactiveの『Clair Obscur: Expedition 33』がIndie Game Awardsで「Game of the Year」と「Debut Game」の2賞を撤回された件を指していると思われます。

日野氏の本音──「本当にできていたら逆にすごい」

日野氏は、AIの活用自体は開発効率の面で効果が出ているとして、前向きな見方を示しています。「AIを使って、馬鹿にできない時間短縮が出来ているというのも事実で、これはゲーム開発の常識を覆す可能性がある」と述べました。

その一方で、AIに対して「使うこと自体が悪い」という印象が広がることには懸念を示しています。「『AIを使うことが悪』という印象をつくってしまっては、現代のデジタルテクノロジーの発展は大きく遅れることになりかねません」としたうえで、AIは「人が作品を作るためのツール」として捉えてほしいと呼びかけました。最後は「いろんな技術革新により、よりゲーム業界が発展することを祈っています」と結び、同内容を開発ブログにも後日掲載する予定だとしています。

出典

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