「期待と不安」から「中核を任せたい」へ──ゼルダ開発で変わったモノリスソフトの立ち位置

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モノリスソフトと任天堂が、「ゼルダの伝説」シリーズの共同開発について語るインタビューが公開されました。『スカイウォードソード』から『ティアーズ オブ ザ キングダム』まで、3作品を通じて両社の関係は大きく変化。任天堂の岩本大貴氏は「中核の部分を担ってもらいたい」と、今後への期待を語っています。

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「期待と不安が入り混じる」──スカイウォードソードで始まった協業

モノリスソフトがゼルダ開発に参加したのは、2010年夏の『スカイウォードソード』からでした。任天堂にとって、ゼルダのデザインと企画を社外に委託するのはこれが初めてのこと。岩本大貴氏は当時を「期待と不安が入り混じる状況でした」と振り返ります。

モノリスソフト側も同じ思いだったようです。藤田泰弘氏は「任天堂のゲームの作り方が全く想像できていなかった」「自分たちの仕事は通用するんだろうかという不安もありました」と語っています。この時期の関わり方は、任天堂が練った仕様に沿ってモノリスソフトがデータを作る、という関係性が主でした。

「一緒に考え、一緒に作る」──ブレワイで深まった関係

『ブレス オブ ザ ワイルド』では、関わり方が大きく変わりました。藤田氏によれば「モノリスソフトの方が開発人数が多くなって、関わり方も変わりましたね」とのこと。レベルデザインや遊びのアイデアを一緒に考えるところから任されるようになり、「一緒に考え、一緒に作る」ことが増えたといいます。

両社の開発スタイルには違いがありました。モノリスソフトは大人数を組織的に動かして物量をこなすのが得意。一方、任天堂は職種に関係なく意見を交わしながら試行錯誤を繰り返すスタイルです。藤田氏は「試行錯誤するスピードが速く、回数が多いことに驚きました」と振り返り、「お互いの得意なスタイルをいかに掛け合わせるかが、開発を通じてのテーマだった」と語っています。

従来のモノリスソフトでは、開発終盤になると区切りがついたスタッフから次のプロジェクトに異動することが珍しくなかったそうです。しかし『ブレス オブ ザ ワイルド』では「全員揃ってデバッグまで全力投入しました」と藤田氏。岩本氏も「みんな、やり切った顔をしていましたね」と、当時のチームの一体感を振り返っています。

アイデアから完成まで──ティアキンで広がった役割

『ティアーズ オブ ザ キングダム』では、さらに踏み込んだ関わり方になりました。DLC開発からプログラマーも加わり、プランナー、デザイナー、プログラマーの3職種が揃って開発の最初から参加する体制に。岩本氏は「それまで以上にクリエイティブな部分に関わってもらえる期待がありました」と語ります。

藤田氏は「遊びやアクションを考えるところから始まるとは、正直なところ、想像していなかったです」と、役割の広がりに驚きを見せています。アイデアを出すところから完成まで「最初から最後まで一緒に走り切った」経験は、チームにとって大きな財産になったといいます。

「中核を担ってほしい」──任天堂が語る今後の展望

15年の協業を経て、両社の関係はどこまで深まったのでしょうか。岩本氏は「『ここからここまで、全部モノリスソフトの方でやっておきます』というくらいの意気込みなどは大歓迎ですね」と語り、さらに「ゼルダを一から制作していく強力なパートナーとして、どんどん中核の部分を担ってもらいたいです」と期待を寄せています。

藤田氏も「『これがやりたいです』『これがいいと思います』と、こちらから積極的に提案する場面を増やしていきたい」と応じています。「全員でゲームを作りながら、全員でチームも作っている」という言葉には、まだ発展途上という自己認識とともに、さらなる成長への意欲がにじんでいます。

出典

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