GTA生みの親ダン・ハウザー「AI推進派は人間的でも創造的でもない」

Dan Houser_ _The Games Were So Big, ‘They’re Like Novels!’_ _ GRAND THEFT AUTO & RED DEAD REDEMPTION 16-13 screenshot

ロックスター・ゲームズ共同創業者のダン・ハウザー氏が、Virgin Radio UK(英国)のインタビューでAI推進派を痛烈に批判しました。AI技術を推し進める経営層について「人間的でも創造的でもない」と述べ、彼らが人類の方向性を決めることへの懸念を表明しています。

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「人間的でも創造的でもない」AI推進派への批判

ハウザー氏は2020年にロックスターを退社し、現在は新スタジオを設立して活動しています。今回のメディア出演は、AIをテーマに含む新作小説のプロモーションの一環です。

同氏は、AIを活用して人類や創造性の未来を定義しようとする人々について「最も人間的でも創造的でもない人々だ」と語りました。さらに「彼らは『我々の方が”人間らしさ”を理解している』と言わんばかりだが、それは明らかに違う」と続け、「人類の方向性が、人間として成熟しているとは言えない一部の人々に左右されている」とも述べています。

「狂牛病」に例えたAI技術の自己崩壊リスク

技術面についてハウザー氏は「AIはいずれ自分自身を食い尽くすだろう」と予測しました。AIモデルがインターネット上の情報を学習する一方、そのインターネット自体がAI生成コンテンツで溢れていくためです。同氏はこの循環を「牛に牛を食べさせて狂牛病になったのと同じだ」と表現しています。

ただし、AIの能力を全否定しているわけではありません。先週、英Channel 4の番組『Sunday Brunch』に出演した際には「一部のタスクは素晴らしくこなすが、すべてのタスクを素晴らしくこなせるわけではない」と述べ、AI企業が「あらゆる問題を解決できる」と主張することへの疑問を呈しています。

他の著名開発者が語るAI活用への懸念

ゲーム業界でも、AI活用をめぐる議論が見られます。『ウィッチャー3』や『The Blood of Dawnwalker』のディレクターを務めるコンラッド・トマシュケイビッチ氏は、Eurogamerの取材に対し「AIだけで作られたゲームには魂がないと感じる」と語っています。

ハウザー氏の「人間性を欠いた推進層への警戒」と、トマシュケイビッチ氏の「魂のないゲームへの懸念」は、いずれも人間の創造性や役割が軽く扱われてしまうことへの不安という点で重なっているようにも見えます。こうした危機感を示す声が、業界の一部で上がっています。

出典

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