『ゼルダ ティアキン』チューリは鳥らしく飛ばすほど使いにくくなった——モノリスソフト開発者が振り返る「生き物らしさ」との板挟み

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『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』で風の賢者チューリの挙動プログラムを手がけたモノリスソフトのY.T.氏が、開発中の苦心を公式インタビューで振り返っている。鳥らしい動きと使いやすさの両立が、最大の課題だった。チューリを自由に飛ばすほどプレイヤーが力を借りたいときに近くにおらず、逆にリンクへ張り付かせると生き物らしさが消えるという板挟みがあった。この調整は任天堂との対話を重ねながら、シチュエーションごとに詰められている。

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チューリの動きが抱えていた矛盾

Y.T.氏はモノリスソフトでプログラマーとテクニカルアーティストを統括する立場にあり、チューリの挙動を担当した。問題は単純だった。鳥なのだから大らかに飛ばしたい。だが大らかに飛ぶチューリは、プレイヤーが風の力を使いたいときに限って遠くにいる。

「実装を進めていると、もっと鳥らしくしようと大らかに飛ばしたくなるんですが、いざプレイヤーがチューリの力を借りたい時に、近くにいないと困ってしまいます。かといって、常にリンクの後ろに張り付かせると、ドローンのような機械的な動きになり、生き物らしくなくなってしまいます。」 ——Y.T.氏 / モノリスソフト公式インタビューより

この板挟みに対して、任天堂と「ちょうどいい塩梅」を探りながら調整は進められた。洞窟、ダンジョン、ボス戦、他の賢者と一緒にいる場面——シチュエーションごとに挙動を変え、対話を積み重ねた末にチューリは完成した。

慎重になりすぎると遊びそのものが変わる

チューリの調整とは別の場面で、もう一つの問題意識が述べられている。同じくモノリスソフトのM.K.氏は、プログラマーが最初からリスクを避けようとすると、遊びの形そのものを変えてしまう方向に進みやすいと述べている。

「遠くまで運ぶとリスクがあるなら、決まった距離を運ぶタイムアタックにしようか」 ——M.K.氏 / モノリスソフト公式インタビューより

ボール運びを例にした話だ。遠くへ運ぶ遊びにバグや不具合のリスクがあるとき、そのリスクを潰すのではなく、遊びのほうを「安全な形」に変えてしまう。技術的には正しくても、面白さが別物になる。

モノリスソフトのプログラマーは本作で遊びを実装する領域を担当し、任天堂と一緒に遊びを作り上げた。前作のDLC開発時より人数規模も拡大している。モノリスソフトの公式インタビューでは、面白さを損なわずに実装へ落とし込もうとする姿勢が語られている。任天堂の開発者インタビューでも、試行錯誤を重ねながら価値観をすり合わせていった様子がうかがえる。

まず作る、すぐ試す

開発現場にはスピード感があった。Y.T.氏によると、最低限の要素をまず作り、チームで確認して改善を繰り返す進め方が重視されていた。試行錯誤は各所で互いに影響し合い、一つの変更が別の調整を呼ぶ連鎖が日常的に起きていたという。

誰に聞くべきか分からない場合でもまず質問してよいという指針があったとM.K.氏は述べている。部署をまたいだやり取りの敷居は低く保たれていた。チューリのように多くの場面で挙動が変わるキャラクターを仕上げるには、こうしたフランクな連携が欠かせなかったのだろう。

※本記事はモノリスソフトの公式インタビューをもとに、関連情報を加えて再構成しています

出典

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