コーエーテクモゲームスのガストブランド長・細井順三氏は、AUTOMATONが2026年2月21日に公開したインタビューの中で、現在の状況について「今がある種のバブルだと思っている」と述べました。同氏は他社ブランドには再現性のあるゲームシステムという強みがあり、キャラクター人気のような水物ではないと指摘したうえで、ガストをシステムで評価されるブランドにしていかなければ忘れられてしまうと語っています。
「人気はずっと続くことはない」──ブランド長の危機意識
AUTOMATONのインタビューで細井氏は、現在のガストブランドの状況についてこう語っています。
「今がある種のバブルだと思っているからですね。『ライザのアトリエ』の人気はずっと続くことはないですし、だからこそ今のうちに、開発力も売り上げもベースを一段高くできるように伸ばしていかなくてはいけないと思っています」 ——AUTOMATON インタビューより
細井氏は他社ブランドを引き合いに出し、他社にはゲームシステムという再現性のある強みがあり、キャラクター人気のような水物に頼っていないと述べました。そのことを踏まえ、ガストをシステムできちんと評価されるブランドにしていかないと忘れられてしまうと思っていると語っています。同インタビューで開発プロデューサーの河内克斗氏は、『ライザのアトリエ』を再現できるかについてかなり難しいのではないかと話しました。
市場分析に基づいたデザインとストーリーの設計
同インタビューで細井氏は、ライザの肉感的なキャラクターデザインについて、市場調査から検討を始めたと説明しています。当時、アトリエシリーズにはセールスを含めた閉塞感があり、新しい挑戦をしなければこの状況を抜け出せないと改めて考えたことが出発点だったと振り返りました。
市場でどのような女性像やスタイルが受け入れられるかを分析した結果、ふくよかさがユーザーの求めるものではないかと考えたとのことです。文化や状況によって好まれる傾向が異なることを踏まえ、広い範囲の中央値となるデザインを目指したと説明しました。
ストーリー面では、映画「IT/イット」シリーズやドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」から着想を得た青春劇のコンセプトを取り入れています。青春劇という海外で受け入れられる土壌がある設定に日本人が作れるものを組み合わせたと細井氏は話しました。ただし同インタビューでは、当時はグローバルを強く意識していなかったとも述べています。
別タイトルから流用したライティングと据え置きの予算
『ライザのアトリエ』の特徴的なライティングの経緯も、同インタビューで明かされています。細井氏によると、そのライティングは、もともと『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』で陰影を作るために開発されたものでした。
「あのライティングは元々『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』で学校の中の暗さも表現できるように、陰影を作るためのものでした」「そうです、そのライトをもってきたら夏っぽくなるねと(笑)なので、シェーダーも何も変えていないんです」 ——AUTOMATON インタビューより
加えて細井氏は、『リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜』から予算規模がまったく変わっていなかったことも明かしています。だからアイデアで勝負するしかなかったと当時を振り返りました。
技術蓄積を経て模索するグローバル展開
細井氏によると、『ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜』では開発規模をアトリエシリーズの中で最大にしました。その理由はオープンフィールドとシームレスバトルの採用だったと説明しています。同インタビューで河内氏は、「秘密」シリーズ3作の開発について、現場としてひとつ修羅場を乗り越えた経験が次の開発に活きていると話しました。
一方で細井氏は、現在のガストブランドは踊り場の状態にあるとも述べています。ゲームの作り方や開発体制の再配備を進めている最中であり、グローバル展開については、日本向けか海外向けかのどちらかではなく、日本のユーザーに楽しんでもらいながら海外にも受け入れられる作品づくりを意識していると語りました。
「秘密」シリーズ後に発売した『ユミアのアトリエ 〜追憶の錬金術士と幻創の地〜』について、細井氏は新しいチャレンジをした一方で色々と至らない点もあったと感じていると述べています。コーエーテクモゲームスの発表によると、同作は2025年3月の発売後、アトリエシリーズ最速で全世界累計出荷30万本を突破しました。
※本記事はAUTOMATONによるインタビューをもとに、関連情報を加えて再構成しています。



