任天堂・宮本茂氏インタビュー「今はアイデア提案してもなかなか作ってくれない」「任天堂らしさとは“安心”」「売れるものより自分が面白いと思うものを信じて作らなければ失敗する」など

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明日発売の週間ファミ通最新号に任天堂・宮本茂氏の超ロングインタビューが掲載されており、その一部内容が明らかとなりました。宮本茂氏は『スーパーマリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズなど任天堂を代名詞とも言える代表作を生み出したクリエイター。2019年にはゲーム関係者としては初となる文化功労者に選定されました。

宮本茂氏インタビュー

  • (今後もう一度自身が深く入り込んでゲームを作ろうという気持ちはある?)数人でやれるコンパクトな仕事があったら面白いと密かに思っているが、今はそれ以外に面白いことがいっぱいある。
  • 小規模でもまたゲームを作りたい気持ちはある。それまでに全くなかった手応えを何かで見つけたら作ってみたいと思う。
  • 今はもう「こんなの作らない?」と言ってもなかなか作ってくれない。「そうなんですか?」と言われて終わり。
  • 開発チームをもう自分で持っていない。でもそこから始めて「そういうことだったんですね」と言われたら嬉しい。
  • (最近気になったり生活の中で面白かったりするものは)広報担当から「言ったらダメ」と言われている。それが商品になるかもしれないから(笑)
  • 最近はかなり『ポケモンGO』を遊んでいる。近所の人や孫と一緒に遊ぶのが凄く快適。人の作ったゲームをこんなに遊ぶのは久しぶり。
  • 面白いと思うものを作ってそれが面白くないと言われたら、なぜ面白さが伝わらないのか、を考えることを大事にしている。
  • 人の作ったものを遊ぶと自分自身が理解していく過程が分かるし、お客さんの立場で経験していくと「まだまだ未熟だな、自分で今度この技を使ってみよう」と思う。
  • (嫁や孫が自分のゲームではないゲームにハマるのは悔しい?)そうでもない。尊敬されても困る。家では普通の人として扱われたい。
  • ファミ通にこれだけ出ていてなんだけど、作り手はあまり表に出ないほうがいいと思う。作ったものを解説するなんてあまりいいことではないと思う。PRやファンに裏話をするのは面白いかもしれないが、これから遊ぼうという人に「このようにうまく作っています」と押し付けるのは順番が違うような。
  • この年になって「楽しくないと損だ」と思うようになった。誰でも自分の作ったゲームを酷評されるとムカつくが、酷評した人をギャフンと言わせようと考えると楽しくなってくる。 ムカっとしてもその状況を楽しみ、エネルギーが沸いてそれを超えてくると「よくぞ酷評してくれました。あなたのおかげで私は活力を得ました」という境地に到れる(笑)。55歳頃その境地に。それまでは反発していたが楽しむようにしたほうが得だと。
  • 昔はケータイでゲームなんてできないと強がっていたが、いつのまにか性能が上がりゲームが無料で配られるようになった。ぼくらがゲーム機を売っても、こんなものをタダで配られたら堪らないという所まで来た。
  • スーパーマリオ新作はシリーズ作でも単に続編を作るのではなく、新しい技術が現れたら一つ作るようにしている。
  • 難関にチャレンジすることが楽しいというお客さんと、ミスしても次に行きたいというお客さんの両方に向けて作るというのがここ数年の課題。
  • 他にはない本当に楽しい面白さがあるものを作れば、それは発売からひと月で消えるのではなく何年たっても売れ続けるだろう、そういう風にしようとしてきた。
  • クリエイターと呼んでいいのは神様だけ。誰もクリエイションしてない。みんなエディットをしている。僕もエディター。 過去に吸収したものをどんなふうにエディットして出すかを繰り返している。
  • 一番大事だと思うのはダーツを投げて思ったところに当たった時の感覚。
    (常に巻き尺を持ち歩いているのは)単に物を見た時に何センチか予想して当たると嬉しいから。先ほどのダーツと同じ。当たる感じを維持するよう訓練している(笑)
  • 今でも自分の関わるものには操作性と操作感だけはかなり入り込んで一緒に作る。『ブレスオブザワイルド 』もそう。コンセプトなどにも関わるが後はお任せ(笑)。
  • マリオについては、マリオが関係するゲームを作る時は必ずどこかのタイミングで見ている。
  • (マリオの活躍の場を決められるのは宮本さんだけ?)誰も決められないなら自分が、を繰り返しているうちにそうなった。まぁ「イヤだ」と主張できる権利だけは持っておこうかと(笑)。
  • 『スーパーマリオラン 』はベッタリ見ている。モバイルでマリオをどこまで使っていいのかは他の誰にも決められないので。
  • マリオらしさとは”安心”。これは社内でもあまりずれていない感覚があり、僕が厳しすぎると崩しに行くくらい。人は殺さないけど虫も踏み潰さないわけじゃないという程良いマリオ感の基準がみんなに浸透している。
  • スマブラのやんちゃなマリオは心配されたが、殴った時の効果音を可愛らしくしたら「これなら大丈夫」と言われた。
  • 任天堂らしさも言葉で表すなら”安心”。親御さんから見て安心、リビングに置いておける、家庭の娯楽の中心になるものを作ろうと努力している。それを考え始めたのはWiiあたりから。N64のころ他社のハードを見て、僕らが一番得意なのはインターフェースだと考えるようになった。
  • 僕はAppleが好き。うまく制限をしてお客さんの使い勝手を大切にしている。
  • 任天堂は子供っぽいと言われていた時代もあったが、優先事項をコツコツ繰り返してきた結果、Wiiの頃から”安心”というイメージを持たれるようになった。
  • 僕らにとって任天堂らしさとは本当にお客さん本位で考えること。マーケット本位でも流行っているもの本位でもない。
  • (ゲームプレイ動画配信は)色々な楽しみ方があってもいいと思う。今は広く動画を公開できる時代で、それを見た方がそのゲームに興味を持ってもらえることもあるかと。僕もたぶんの人の作ったものなら攻略ビデオを見ると思う。正直自分のものは観てほしくない。人の作ったものならいいかなと(笑)
  • 映画とゲームはほとんど同じようなプラットフォームで体験できるようになった。任天堂にとって映像はあったほうがいいのかも、と思うようになった。マリオにとって映画があったほうがいい時代。
  • 売れるものを作ろうとすると色々失敗する。売れるものより自分が面白いと思うものを信じて作るのが一番大事。売れるものを作ろうとすると何処かにあるものになってくる。出来上がったものが世間にありそうなものになると売れない、だから見たことがないものを作るのが任天堂。
  • ゲームだけでなく色々な場面で自分たちのゲームキャラクターを大事にしながら展開しようと考えている。いろいろな会社と協力して。
  • 今後も守りに入らず新しいことをどんどんやっていけたら。