『SILENT HILL f』は、シリーズの和風ホラー要素を最大限に引き出した新作です。開発舞台裏を語る映像をもとに構成された本記事では、「美しいがゆえに、おぞましい。」をコンセプトに、昭和時代の日本を舞台として新たな恐怖を表現する本作の魅力を深く掘り下げます。NeoBardsとKONAMIの密な協業により、竜騎士07先生が紡ぐ物語がゲームプレイと融合。サイコロジカルホラーとしての深みと、日本の風景が織りなす独特の魅力が、プレイヤーを新たなサイレントヒル体験へと誘います。
『SILENT HILL f』：和風ホラーの真髄と新たな舞台
「美しいがゆえに、おぞましい。」コンセプトの深化
『SILENT HILL f』では、シリーズが持つ和風ホラーのエッセンスを100パーセント追求しています。和風ホラーの特徴は、単純なグロテスクさにとどまらず、美しいものとおぞましいものが共存する点です。この共存を「美しいがゆえに、おぞましい。」というコンセプトで表現しています。ビジュアルデザインにおいてもこのコンセプトが深く反映されており、独特の不穏さを感じさせながらも、思わず見入ってしまうような恐ろしい魅力を放っています。主要なキャラクターアートデザインはkera氏が担当しており、このコンセプトの具現化に大きく貢献しています。
昭和日本の舞台設定とサイコロジカルホラーの進化
本作の舞台は、これまでのサイレントヒルという町から日本へと移りました。時代設定は昭和が選ばれています。これは、物語のテーマをより高いコントラストで描く環境として最適だと判断されたためです。半世紀前の時代であり、現代と繋がっているにもかかわらず、忘れ去られた風習や迷信が残る「地続きの異世界」としての魅力が本作にはあります。
舞台は変わっても、精神世界の中で自分自身と向き合うサイコロジカルホラーである点は変わっていません。このサイコロジカルホラーとしての要素を踏まえつつ、和風ホラーのエッセンスが強化されています。レベルデザインには日本の風景が取り入れられ、金山町の筋骨エリアをベースに、果物屋、学校、神社などがセレクトされています。これにより、日本情緒溢れるレベルが構築され、アジアのプレイヤーには馴染み深く、西洋のプレイヤーには異質で魅力的な場所として映るでしょう。もちろん、サイレントヒルの内面世界というIPの非常に重要な要素も継承されています。
開発体制と物語に込められた意図
NeoBardsとの密な協業と竜騎士07先生の物語
『SILENT HILL f』の開発は、KONAMIとNeoBardsの協業により進められています。NeoBardsは、約20年にわたる経験を持つメンバーで構成されたチームであり、日本の大手パブリッシャーとの実績も豊富で、円滑なコミュニケーションが可能です。NeoBardsチームの多くのメンバーが『SILENT HILL』と竜騎士07氏の熱心なファンであり、このコラボレーションは自然な流れで実現しました。
KONAMIとNeoBardsの間では、本作の精神を継承しつつ、どのようにゲーム体験を創出していくかについて何度も議論が重ねられました。特に、シナリオ側から伝えたいことはNeoBardsによって全て受け止められ、主要な開発目標の一つとして、竜騎士07氏のユニークなストーリーテリングの特徴を完全に再現することが掲げられました。
ゲームプレイとストーリーテリングの融合
本作の主人公である雛子は、シリーズの伝統を受け継ぎ一般人としてデザインされています。ゲームプレイにおいては、楽しくて興味深い体験の実現が重視されており、新鮮でありながら親しみを感じ、テーマに即した複雑すぎない戦闘システムの作成に力が入れられました。
物語のデザインには、オリジナルの核であるサイレントヒルのスリルと恐怖の持続に加え、竜騎士07氏によって書かれたプロットと本作のゲームプレイデザインが組み合わされた新しい側面があります。竜騎士07氏の物語を最適な形で伝えるため、プレイヤーを突き動かすタイミングや探索の自由を与えるタイミングなど、ストーリーと連動したレベルの流れが作られています。環境のストーリーテリング、ゲームプレイ中に拾うメモとしての二次情報、アニメーションVOによるキャラクタリゼーション、そしてカットシーンなど、多岐にわたる手法で情報が提示されます。これにより、プレイヤーは深い没入感の中で『SILENT HILL f』の物語を体験することになるでしょう。
