1998年発売のRPG『ゼノギアス』で、Disc 2の物語を実際にプレイできる形に作り直す非公式ファンプロジェクト「Project Animus」が進められている。開発を手がけるHarry氏は、9歳の頃から毎年『ゼノギアス』を遊び続けてきたという。Disc 2で登場人物が椅子に座り、冒険の出来事を語る場面を迎えるたびに、「この冒険を自分でプレイできたら」と願ってきた。その長年の思いを形にしようという試みだ。
『ゼノギアス』のDisc 2は、Disc 1のように自由に探索や戦闘を楽しむ場面が大幅に減り、登場人物の語りを中心に物語が進んでいくことで知られる。原作ディレクターの高橋哲哉氏は、2017年のKotakuのインタビューで、この独特な構成が生まれた背景を説明している。
当時は開発が予定より遅れており、Disc 1で物語を終わらせる案も示されていた。しかし、高橋氏は物語を最後まで描き切ることを優先し、自らDisc 2の形式を提案したという。
Project Animusは、そうして語りで描かれた冒険を、プレイヤー自身が体験できるようにすることを目指している。Harry氏は開発紹介動画で、Disc 2の再構築こそがプロジェクトの出発点であり、最も時間を要する部分になると説明した。
構想には、探索できるエリアの拡張や任意で挑戦できるボス、終盤の追加コンテンツ、さらには別エンディングまで含まれている。ただし、Disc 2の拡張はまだ計画段階にあり、具体的にどのような冒険を追加するのかは明らかにされていない。
一方で、原作の体験をそのまま楽しめることも重視している。Harry氏が掲げる原則は「何も取り除かない」というものだ。
そのため、ゲーム開始時にはストーリーを原作版と拡張版から選べるようにし、ゲームプレイについても原作のルールと改修版を別々に選択できる仕組みを構想している。たとえば、物語は原作のままに、改修されたゲームシステムで遊ぶことも可能になるという。反対に、拡張された物語を原作のルールで楽しむ組み合わせも選べる。
全682エリアに初期改修。ラハン村の立体化や60fps化も
Disc 2の再構築はまだ構想段階だが、原作のゲーム部分を改修する作業はすでに進められている。
最初の村であるラハンでは、原作で平面的な画像として表現されていた石壁や屋根、地面などを立体的に作り直した。Harry氏によると、ゲーム内に存在する全682エリアにも初期段階の形状改修を施しており、今後は各エリアの細部を手作業で仕上げていくという。
2本目の開発紹介動画では、ラハン村からシタンの家へ続く山道、さらにワールドマップまでの改修成果が披露された。
見た目だけでなく、操作やアニメーションにも手が加えられている。歩行時のフレームレートは30fpsから60fpsに引き上げられ、主人公フェイの歩行アニメーションは320枚を描き直した。カメラも自由に操作できるようになり、原作の視点に戻すことも可能だ。
戦闘画面も刷新されている。巨大ロボット「ギア」による戦闘だけでなく、キャラクターが生身で戦う場面にも新たなコマンド表示が用意された。
さらに、英語のセリフについても原作の日本語テキストと照合し、翻訳を修正する作業が進められている。こちらも従来の英語版を置き換えるのではなく、ゲーム開始時にオリジナルと修正版を選べる仕組みとなる。
もっとも、改修はまだ途中だ。現在のゲーム画面には表示が重なる箇所や、一部のキャラクター配置など、修正が必要な部分も残っている。
Harry氏は、公開した改修内容について、プレビューと明示したものを除き、実際にゲーム内で動作していると説明している。ただし、最大の目標であるDisc 2の再構築については、完成が近いかのように見せるつもりはないと強調した。
目指しているのは、いつかフェイがあの椅子に座る場面にたどり着いたとき、今度はそこから立ち上がり、語られるだけだった冒険を自分の手でプレイできるようにすることだという。
なお、Project Animusはスクウェア・エニックスとは提携・関係のない個人制作の非公式ファンプロジェクトであり、完成時期や配布予定は発表されていない。



