『ほの暮しの庭』開発者「大事なものほど奪いたくなる」──プレイヤーの積み重ねを守るプロデューサーとの攻防

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『夜廻』シリーズのスタッフが手がけた生活シミュレーションゲーム『ほの暮しの庭』。ディレクターの溝上侑氏は、制作上の考えとして「大事なものほど奪いたくなる」と語っている。しかし、農場生活でプレイヤーが積み上げてきたものを台無しにする展開には、プロデューサーの勝又美桜氏が歯止めをかけていた。

AUTOMATONのインタビューで溝上氏は、「このキャラクター殺していい?」といった提案もしていたかもしれないと、笑い交じりに振り返った。勝又氏はそうした演出をできるだけ避けるよう求めていたが、ただ却下するのではなく、「これならいいよ」と代替案を示していたという。

発売前の電ファミニコゲーマーのインタビューでは、勝又氏が避けようとしていた演出の具体例も明かされている。育てた家畜を突然殺す、野菜を奪う、仲良くなった住人を突然いなくするといった演出だ。ホラーとしては大切なものを奪うほど強く響く場合もあるが、農場ゲームではプレイヤーの反感を買いかねない。そのため、演出上どうしても何かを奪う必要があれば、後からシステム面で補填するという折衷案も示していた。

調整が必要だったのは、何を奪うかだけではない。溝上氏が問題ないと考えた怪異のデザインやシナリオについても、勝又氏が怖さや不快感を指摘することがあったという。勝又氏自身、ホラーゲームが苦手で『夜廻』もプレイできない。二人はそれぞれの感覚をすり合わせながら、怖さの度合いを調整していった。

夜間探索で倒れた際のペナルティも、意見が分かれた要素の一つだ。本作では、深夜に怪異に襲われてライフが尽きても、所持アイテムを失うような追加ペナルティは発生しない。勝又氏は、ホラー要素だけでもプレイヤーにストレスがかかるのに、さらにアイテムまで失わせるのは負担が大きすぎると考えた。その意見を受け、追加ペナルティは設けないことになった。

そもそも夜間探索では、途中で倒れると家具やアイテムを獲得する機会を逃してしまう。勝又氏にとっては、報酬を得られないこと自体が「ある意味ペナルティ」であり、それで十分だという判断だった。

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