『トモダチコレクション わくわく生活』の開発チームが、見た目・声・動きのすべてで「リアルにしすぎない」判断を一貫して適用していたことが、任天堂の開発者インタビュー「開発者に訊きました」で語られた。Switchの性能を使えばMiiの表現をもっとリアルに寄せることもできたが、開発チームはあえてその方向を選ばなかった。その判断の根底には、Miiを”意思をもった人格のあるいきもの”として扱う認識がチーム全体で共有されていたことがある。
見た目・声・動き、3つの領域で「抑えた」
アートディレクターの蔭山氏は、Miiのアイデンティティである顔パーツや手足のフォルムには手を加えないと決めたと述べている。見た目のベースは素朴でアニメっぽいトゥーン調のまま、そこにアップデートを加える形をとった。
声の領域でも同じ判断が働いている。サウンドディレクターの峰岸氏によれば、新しい音声合成エンジンを導入したことで、精度の高いリアルな声を生成できるようになった。だが、そのまま使えばMiiらしさが消える。峰岸氏は「あえて無機質っぽい声にするための加工をした」と話している。技術的にはリアルに近づけたうえで、出力をわざと引き戻したということだ。
動きも同様だ。蔭山氏は、リアルで格好いい動きをつけるとMiiっぽくなくなると説明している。なめらかさを出す予備動作をわざと抜いたり、大胆な動きを増やしたりして、Miiらしいぎこちなさや愛嬌を残す方向で調整した。
ただし、「変えなかった」は「進化していない」という意味ではない。蔭山氏と高橋氏は、すべてを一からつくり直し、各パーツの構造や設計を見直したうえで、新たなカスタマイズパーツや自由度を増やしたとも語っている。核となるアイデンティティは維持しながら、土台そのものは刷新された。
Miiは”操作キャラ”ではなく”いきもの”
3つの領域で抑制判断が一致した背景には、開発チーム全体で共有された1つの認識がある。ディレクターの高橋氏はこう述べている。
「『トモコレ』のMiiは、その世界に生きている、意思をもった人格のある『いきもの』、なんです。」 ——高橋氏、ディレクター / 任天堂「開発者に訊きました」より
この認識は高橋氏個人の考えではなく、開発初期からチーム全体で共有されていたものだと語られている。Miiを操作対象やアバターではなく、自分の意思で動く存在として捉えるからこそ、見た目をリアルに寄せすぎれば別の何かになってしまう、という判断が全領域で自然に揃った。
「指図しない」という操作設計
この”いきもの”という認識は、操作の設計にも直接つながっている。開発の過程では、プレイヤーがMiiの行動を直接指図できる「糸電話」のような仕組みも検討されたが、退けられた。プログラムディレクターの上野氏はその結論をこう表現している。
「つまんで持っていくことはできるけれどそこで何をするかはMiiに委ねる」 ——上野氏、プログラムディレクター / 任天堂「開発者に訊きました」より
プレイヤーができるのはMiiを場所に連れていくことまでで、そこから先はMii自身が判断する。プログラムディレクター兼プランニングの大西氏も、相関図やレストランでの会話などで、きれいに整えきらず、思いがけないことが起きる余地を残すバランスに力を入れたと話している。完全な操作権をプレイヤーに渡さないことで、Miiが自分で動いているという感覚を守る設計だ。
『トモダチコレクション わくわく生活』は4月16日発売予定だ。
※本記事は任天堂「開発者に訊きました」の内容をもとに、関連情報を加えて再構成しています。



