『ウィッチャー3 ワイルドハント』の「家庭の事情」は、同作を代表するクエストのひとつとして語られてきた。
その制作初期を振り返ったのが、CD PROJEKT REDで『ウィッチャー3』や『サイバーパンク2077』に携わってきたパヴェウ・サスコ氏だ。サスコ氏は自身のX投稿で、最初のクエスト案がレビューで通らず、2日で新案を求められたと説明している。スラブ民話で見つけたポロニェツは、のちにボッチリングと呼ばれる怪物へつながり、「家庭の事情」の初稿へと結びついた。
最初の案はレビューで通らず、2日で新案へ
サスコ氏の投稿によると、2012年2月、ワルシャワの旧工場のような建物で、次回作の説明が行われた。当時その場にいたのは、『ウィッチャー2』を出荷したばかりの約80人のチーム。そこで示されたのが、次の作品をオープンワールドにするという方針だった。
サスコ氏は当時、リードの下にいた3人のクエストデザイナーのうちの1人だった。No Man’s Landのストーリー概要が届き、「血まみれ男爵」が初めて出てきたあと、自身初となる『ウィッチャー3 ワイルドハント』向けのクエスト設計に取りかかる。
最初のクエスト案をレビューに持ち込んだものの、結果は厳しいものだった。サスコ氏は、それが目の前で崩れていくのを見ることになったと振り返っている。投稿では「何も機能しなかった」という趣旨で語られており、そこから2日で新しい案を持ってくる必要があったという。
スラブ民話からボッチリングへ、そして「家庭の事情」の初稿へ
2日の猶予のなかで、サスコ氏はスラブ民話を読み、ポロニェツにたどり着いた。死産児の怪物として説明されているこの存在が、のちにゲーム内でボッチリングと呼ばれる怪物につながった。
サスコ氏が新しい案として持ち込んだものが、「家庭の事情」の初稿だった。ただし、それで終わりではない。レビューの結果はいくらか良くなったものの、脚本は40ページまで膨らみ、内容を短くするよう求められた。
好きな部分を何度も削る作業について、サスコ氏は、執筆やデザイン以上に多くのことを学んだと振り返っている。
当時の開発環境も、完成形に近いものではなかった。ゲーム内にはまだ草もなく、RED Engine 3も形を探っている段階だったという。サスコ氏は、必要量より多く書き、その中から最良のものを選んでいたとも述べている。
6000万本超を販売した作品の、制作初期の回想
サスコ氏は今回の投稿で、「家庭の事情」だけでなく、プリシラのノヴィグラドでのコンサート、「最後の願い」、ケィア・モルヘンの戦いにも触れている。
ケィア・モルヘンの戦いでは、ヴェセミルの死をサスコ氏が提案したことも語られている。シリの感情の爆発に必要な重みとして説明されているが、この場面も一度で形になったわけではない。
投稿によると、隕石、森に開く裂け目、ワイルドハントの出現、馬で砦へ戻る流れなどが試された。しかし、技術的な問題やクエストフローの不明瞭さがあり、レビューでは否定的な反応を受けたため、作り直すことになったという。
CD PROJEKTは2025年5月28日の発表で、『ウィッチャー3 ワイルドハント』が同年5月に発売10周年を迎え、累計販売本数が6000万本を超えたと明かしている。
サスコ氏は投稿の最後で、失敗や書き直しから多くを学んだと振り返る。「家庭の事情」へつながった書き直しにも感謝を示し、『ウィッチャー3』は自身の人生の大きな一部だと記している。
出典
- Paweł Sasko氏 Xアカウント:『ウィッチャー3 ワイルドハント』制作初期を振り返った投稿



