『ゼルダの伝説 時のオカリナ』でもっとも有名な難所のひとつ、「水の神殿」。その難しさは長年語り草となってきたが、原作でこのダンジョンを手がけた青沼英二氏にとっても、長年の心残りだった。2011年のニンテンドー3DS版では、その思いが解消したと語っていたものの、15年後のNintendo Switch 2版でも再び「28年前の宿題」として水の神殿の改善に取り組んでいる。
2011年に公開された任天堂のインタビュー企画「社長が訊く」で、青沼氏は『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』を制作することになった動機について、「とにかく水の神殿を何とかしたかったんです」と明かしていた。
原作そのものは高く評価されていた一方で、水の神殿の難しさは繰り返し指摘されてきた。青沼氏は、そこでゲームをやめてしまった人も多かったかもしれないことが「いちばん苦しくて仕方がなかった」と振り返り、13年間抱えていた心残りを解消することが、3DS版制作の最大の動機だったと説明している。
当時、特に改善したかったのが、水中移動に欠かせないヘビィブーツの着脱だった。原作ではそのたびにメニュー画面を開く必要があり、移動のテンポを妨げていたが、3DS版ではタッチスクリーンから素早く切り替えられるようになった。青沼氏はこの変更について、「文明の利器を使って、積年の思いがやっと解消できました(笑)」と語っている。
3DS版で手が入ったのは操作まわりだけではない。ダンジョン内では、水位を変える場所へと導く赤・青・緑のラインが壁や扉に追加され、複雑な構造のなかでも進むべき方向を把握しやすくなっていた。
それから15年。2026年11月に公開された任天堂の「開発者に訊きました」で、青沼氏はNintendo Switch 2向けフルリメイクについて、再び水の神殿への思いを明かした。
「私は自分がつくった『水の神殿』をなんとかしたいという自分の中の28年前の宿題があって(笑)」
青沼氏によれば、原作の水の神殿は、自身の素潜りの経験をもとに、水中にいること自体の楽しさや、普段とは異なる空間に身を置く感覚を表現しようとして作られたものだった。しかし、ダンジョンの構造が複雑なうえ、頻繁なアイテム切り替えのために何度もメニュー画面を開くうち、自分がいまどこにいて、どちらを向いているのか分かりにくくなる問題も生じていたという。
今回のリメイクでは、アイテムの切り替えをしやすくしたうえで、空間把握の難しさにも直接手が加えられている。方角を把握しにくくしていた壁の一部を格子状に変更し、壁越しに隣の部屋が見えるようにすることで、プレイヤーが周囲の空間を理解しやすい構造へと調整されている。



