ゲームクリエイターの小島秀夫監督が、AIによってものづくりが効率化される一方、制作途中の試行錯誤にある楽しさが失われることへの懸念を語った。AIに指示を出して完成品を得る方法についても、自身が考えるものづくりとしては「あまり面白くない」と率直な思いを明かしている。
コジマプロダクション設立10周年記念展に先立ち、10月30日に行われたメディア向けインタビューで、小島監督はゲーム開発を取り巻く技術の進化について言及。約40年前にゲーム業界へ入った当時は2Dの限られた色数でしか表現できなかったものが、今では3Dや俳優の演技、音楽などを扱えるようになったと振り返り、技術の進歩によって創作者の選択肢が広がり続けていると説明した。
AIもその延長線上にあり、作業の効率向上や制作期間の短縮につながるという。しかし、小島監督にとって、ものづくりの面白さは完成品を得ることだけではない。
「例えば絵だったら『絵を描く』のは完成させるのが面白いんじゃないんですよ。途中が面白いんです」
AIに作りたいものを指示し、出来上がったものに修正を求めて完成させる。そうした方法についても効率的であることは認めながら、「僕が思う物づくりとしてはあまり面白くないかな」と語った。
その例として挙げたのが、プラモデルやジグソーパズル、レゴブロックだ。誰が組み立てても完成する形は同じだが、その途中にこそ楽しさがある。小島監督は、作品を完成させることだけでなく、作っている過程自体が本当のものづくりになる場合もあると考えている。
さらに、人間のクリエイターに求められるものを問われると、「『クリエイティブ』と『商品』は別なんじゃないかなと」と回答した。
音楽制作についても、誰かに曲を作るよう依頼し、完成したものを確認するだけでなく、そこに至るまでの試行錯誤にこそ面白さがあると説明。その過程ではアドレナリンが出るほど興奮するという。
小島監督は、こうした創作の喜びについて「僕はそこが失われるような未来にはなってほしくはないですね」と語っている。
今後5年から10年は大丈夫だと考えているものの、AIの進化が制御されないまま進めば、将来的には創造的な領域でもAIが活躍する時代が来るかもしれないという。その未来をどうするかは若い世代が決めることになるとして、次世代にバトンを渡したいという考えも示した。
一方で、AIによって簡単にものを作れるようになることや、制作が効率化されること自体は肯定している。小島監督は、その活用について「使い方によってはいい未来を築けるんじゃないかなと思います」と、可能性にも期待を寄せている。




