『ほの暮しの庭』では、不穏な村を舞台にしながらも、農業やレイアウトに没頭する生活シミュレーション部分を自分のペースで遊べる。「あんしん暮しモード」だけでも、おそらく100時間ほどは十分に遊べるのではないかとされており、怖さを避けたいプレイヤーにも、彼ヶ津村で長く暮らすための遊び方が用意されている。
一方で、通常モードでは村の掟とシナリオがかなり密接に結びつく。シナリオを見たいとなると勇気を出す必要が出てくるとされており、血やジャンプスケアで驚かせるよりも、村で暮らす中で耳にする会話や、住民の行動に混ざる違和感が不穏さとして浮かび上がってくる。
日本一ソフトウェアは本作を2026年7月30日に発売予定。対応機種はNintendo Switch、Nintendo Switch 2、PS5、Steam、Windows。『夜廻』シリーズのスタッフによる生活シミュレーションゲームで、舞台は山奥の小さな村「彼ヶ津村」。主人公はこの村で新たな暮らしを始め、広大な庭で野菜を育て、畜産、狩猟、釣りなどをこなしながら日々を送っていく。
“8割ほどが農場シム”。怖さを避けても農業やレイアウトに没頭できる
彼ヶ津村での暮らしは、野菜を育て、畜産や狩猟、釣りをこなしながら進んでいく。開発者インタビューで、開発責任者の勝又美桜氏は、プレイ時間の配分でいうと本作は8割ほどが農場シミュレーションになっていると説明。企画・ゲームデザインを手がける溝上侑氏も、農場シミュレーション部分だけでも、ほかの同ジャンル作品と遜色ないくらいのボリュームを備えていると思っていると語っている。


「あんしん暮しモード」では、怖さを避けながら農場シミュレーション部分を自分のペースで楽しめる。ひたすら農業に没頭したり、レイアウトをとことん凝ったりする遊び方も想定されており、溝上氏は同モードだけでも、おそらく100時間ほどは十分に遊べるのではないかと語った。
本作には通常の「ほの暮しモード」と、怖いことが起きない「あんしん暮しモード」が用意されている。公式サイトでは同モードの紹介ムービーも公開されており、不穏な村を舞台にした作品でありながら、農業やレイアウトに腰を据えて向き合える遊び方も選べる。
村人の会話、頼みごと、そこにいる時間が引っかかる
彼ヶ津村で暮らしていると、村人たちの会話をたまたま耳にすることがある。そこで「あれってどういうことなんだろう?」「今の話は聞いてよかったのかな?」と引っかかるような不穏さが、本作では重要な要素になっている。勝又氏は、「ホラー」というと怖さが際立ってしまうため、どちらかというと意識しているのは彼ヶ津村や物語の「不穏さ」だと説明している。
血が噴き出したり、ジャンプスケアで急に驚かせたりするタイプのホラーとは違う怖さもある。溝上氏によれば、本作で大きな部分を占めるのは、人間の怖さや、秘密にされていることへの恐怖だ。
違和感は会話だけにとどまらない。勝又氏が挙げているのは、「なんでこの人はこんなものを欲しがっているんだろう」「なんでこの人はこの時間にここにいるんだろう」といった場面だ。村人の頼みごと、そこにいる時間、ふと聞こえた会話が、暮らしの中で小さな引っかかりとして残っていく。
『夜廻』ほどのジャンプスケアや不意打ちの脅かしはかなり少なくなっており、溝上氏も「わっ!」と驚かせるような演出は、できる限りなくしているとしている。突然の大きな音や血の演出ではなく、村人が欲しがるもの、そこにいる時間、聞こえてきた会話の意味が、彼ヶ津村の怖さとして残る。
掟を守ればある程度は安心。物語を見るなら勇気がいる
通常モードでも、村の掟を意図的に破らなければ、ある程度は安心して暮らせる。ただし、彼ヶ津村の掟はシナリオとかなり密接に結びついており、物語を見たいとなってくると勇気を出す必要が出てくるという。
村の掟のひとつに、「夜に出歩いてはいけない」がある。ほの暮しモードでは、夜に出歩けてしまうタイミングが発生するものの、プレイヤーの意思で外に出ず、起こされてもそのまま寝ることもできる。そうすれば怖いことは起きない。勝又氏は、いい子に暮らしていれば「まあ、ちょっと怖いくらいかな」とも話しており、通常モードであっても、掟を守りながら日々を送る余地は残されている。
その一方で、夜の村へ足を踏み出せば、彼ヶ津村の別の顔が見えてくる。真夜中の村では23時以降の外出が禁止されており、深夜に村を歩くことで、住民たちが隠してきた謎に近づいていく。夜の探索では人ならざるものも現れ、勝又氏によれば、この深夜探索パートは『夜廻』シリーズに近い手触りで、シリーズファンが馴染みやすい形になっているという。
村に現れるお化けは毎晩変わり、同じマップでも日によってまったく違うお化けが出てくる。掟を守って眠ることもできる一方で、夜に出歩けば、昼間とは違う彼ヶ津村に触れることになる。
農場を広げ、村で暮らし、ふと「ただの農場シムではない」と思い出す
『ほの暮しの庭』で描かれるのは、農場を広げるだけの生活ではない。村に根付いた生活様式や慣習に触れ、狩りのような田舎ならではの営みもこなしながら、彼ヶ津村での日々を送っていく。溝上氏は、本作は農場経営の要素ばかりに焦点を当てるのではなく、あくまで「暮らし」のシミュレーションだと説明している。
その暮らしは、ずっと穏やかなまま進むわけではない。ほのぼのとスローライフを送っている途中で、「あっ……これはただの農場シムじゃなくて、『ほの暮しの庭』だったな」と思い出すようなイベントが発生する。農場シミュレーションを普通に遊んでいると思ったところに、冷や水をかけられるような演出が入る仕組みだと語られている。
それでも、生活シミュレーションとしての日々は続いていく。本作には時限性がなく、基本的に何年でもプレイできる。メインシナリオに一旦の区切りがついた後もそのまま続けられ、農場を発展させていく途中で打ち切られることもない。普通の生活シミュレーションと同じようなシナリオ進行になっているという。



