青沼英二氏は、かつて『ゼルダの伝説』からの“卒業”を考えていたようだ。
いまでこそシリーズを語るうえで欠かせない青沼氏だが、『ゼルダの伝説 風のタクト』のあとには、宮本茂氏に「ゼルダを卒業してもいいだろうか」と打ち明けていたという。
「OK」のあとにやってきた、次のゼルダ
GamesRadar+が紹介しているのは、2005年6月号のEdge Magazineに掲載された青沼氏の発言だ。
青沼氏は、複数のディレクターのひとりとして『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に参加し、続く『ムジュラの仮面』『風のタクト』では、より中心的な立場を担うようになっていた。
3本の『ゼルダ』に関わった青沼氏は、自分にやれることはおおむねやり切ったと感じていたという。そこで宮本氏に対し、これ以上自分にできることは少ないのではないか、そろそろシリーズを“卒業”してもいいのではないか、と相談を持ちかけた。
返ってきた宮本氏の言葉は、「OK」。
ところが、その後で宮本氏から渡されたのは、別の企画ではなかった。新しい『ゼルダ』だったのだ。
『トワイライトプリンセス』で変わるはずだった立場
その新作が、2006年にWiiとゲームキューブ向けに発売された『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』である。
宮本氏は青沼氏に対し、今度はディレクターではなくプロデューサーとして関わってほしいと伝えたという。実際の設計から少し離れ、制作全体を見渡す役割だ。青沼氏が思い描いていた“卒業”とは違っていたが、それでも『ゼルダ』を少し離れた場所から眺める仕事ではあった。
ただし、『トワイライトプリンセス』のディレクターとして青沼氏の名前がクレジットされていたという事実も付け加えておきたい。
『ゼルダ』以外を考えても、そこには『ゼルダ』があった
青沼氏は、『ゼルダ』以外の企画についても言及している。
自身が初めてディレクターを務めたスーパーファミコン向けタイトル『マーヴェラス ~もうひとつの宝島~』にも、『ゼルダ』と通じるエッセンスがあったという。
青沼氏は『ゼルダ』から距離を置きたいと考えながらも、当時は他にこれといった企画を思いつけなかったと振り返る。『ゼルダ』に関わる以前の処女作にさえ共通する要素があったという事実は、“そもそもゼルダ以外を考えにくかった”という、のちの述懐とも重なる。
青沼氏はこれを一種の「運命」のようなものと捉えており、「逃げるのを諦めるべきだ」とも語っている。
一度は“卒業”を口にした青沼氏だったが、その後も主要タイトルに関わり続けた。現在は『ゼルダの伝説』シリーズの総合プロデューサーを務めている。



