“買ったゲーム”がサービス終了後に遊べなくなる問題をめぐり、米カリフォルニア州の法案AB 1921「Protect Our Games Act」が上院委員会で通過に失敗した。2026年6月29日の委員会投票は、投票詳細で賛成4、反対3、NVR4と記録され、動議はFAILとなっている。法案は、サービス終了後に購入済みデジタルゲームの中核機能を使える状態にするため、事業者に別バージョン、パッチやアップデート、返金、私設・コミュニティサーバー向け文書、サーバーソフト提供などの選択肢を求める内容だった。
プレイヤーにとっては「買ったゲームが遊べなくなる」問題への法案
オンラインサービスが終わると、購入済みのデジタルゲームでも、購入時の広告や説明から期待できた中核機能を使えなくなることがある。AB 1921は、そうしたサービス終了時に、購入者がゲームを使い続ける手段を残すよう事業者に求める法案だった。
その手段は、会社にゲームを永久運営させることに限らない。サービスを終える場合に、オフラインで使える形にする、私設サーバー向けの情報を出す、返金するなど、購入者がサービス終了後も遊べる選択肢を用意することを求めていた。
この法案は2026年6月29日、カリフォルニア州上院のBusiness, Professions and Economic Development委員会(事業・専門職・経済開発委員会)で審議された。州議会が公開している投票詳細では、採決は賛成4、反対3、NVR(投票記録なし)4で、動議はFAIL(否決)。同日の履歴には「Failed passage. Reconsideration granted」(通過失敗、再審議認可)と記録されており、今回の採決では委員会を通過できなかったが、手続き上は同じ委員会で再び採決にかけられる余地が残っている。
求めていたのは60日前通知と、終了後も使える手段の提示
6月23日修正版の条文では、事業者がゲームの「ordinary use」(通常利用)に必要なサービスを終える場合、購入者と購入予定者への事前通知が求められていた。通知の期限はサービス終了の60日前までで、終了日、提供されなくなるサービス、使えなくなる機能、既知のセキュリティリスクを知らせる必要がある。あわせて、サービス終了後もゲームを使う方法、または返金を受ける方法を伝えることも求められていた。
終了後の対応策は、サーバーを動かし続けることに限らない。条文では、運営側のサービスに依存せず使える別バージョン、既存版を使い続けられるようにするパッチやアップデート、返金、私設・コミュニティサーバーを立てるための文書、ゲームが接続できるサーバーソフトの提供が選択肢として挙げられている。
返金を選ぶ場合も、金額は購入者が最初に支払った全額ではない。サービス終了日までの12カ月間に、事業者がそのゲームに提示した最高価格相当と定められている。
無料ゲームやサブスク専用サービスは対象外、業界団体は開発負担を懸念
一方で、AB 1921はすべてのゲームを対象にしていたわけではない。金銭的対価なしで提供されるゲーム、サブスクリプション期間中だけアクセスを販売するサービス、購入時点でインターネット接続なしに永続的なオフライン利用ができるゲームは、対象外になっている。
米国の業界団体Entertainment Software Associationは、AB 1921に反対していた。ESA会長兼CEOのStan Pierre-Louis氏は、同法案について、オンラインゲームの運営実態を誤解していると主張している。
同氏が問題視しているのは、AB 1921がサービス終了後の対応を事業者に求める点だ。サーバー接続型ゲームを終了する際、開発側が無期限の運営継続、技術サポートなしで動く形への作り直し、返金のいずれかを迫られると説明している。
同氏は、オンラインゲームの運営にはバグ修正、パッチ配信、コンテンツ更新、モデレーション、サーバー維持が必要になるとも述べている。楽曲、肖像権、ブランド要素など期限付きの権利を含むゲームでは、長期的なプレイ可能性を求められることで、ライセンス再交渉やゲーム内容の変更が必要になるとも説明した。
出典
- California Legislative Information「Bill Status – AB-1921 Digital games: ordinary use.」
- California Legislative Information「Bill Text – AB-1921 Digital games: ordinary use.」
- the ESA「Opinion: Misguided California bill would harm video game makers, players」




