小高和剛氏、「ストーリーだけでは勝てない」からこそ、ゲーム性を物語の武器にする。『レインコード』『ハンドレッドライン』に通じる創作論

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トゥーキョーゲームスの小高和剛氏は、ストーリーテリングだけでは東野圭吾氏の小説に勝てないと考え、ゲーム性を物語の武器にしていると語った。『週刊ファミ通 2026年7月2・9日合併号』の特集「FILE.2 創り手たちの証言 03」に掲載されたインタビューでは、その考えに加え、『超探偵事件簿 レインコード』の街中の移動や、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』の選択、バトルの位置づけにも触れている。

ストーリーを重視するからこそ、ゲーム性を武器にする

小高氏は、ゲームを作るうえでいちばん重視しているのはストーリーだと語った。自分の武器も“ストーリーテリング”だと考えている。

ただ、ストーリーテリングだけで勝てない相手もいるという。小高氏は東野圭吾氏の『白夜行』と『容疑者Xの献身』を好きな小説に挙げ、自分はそれらに勝てないと思っていると語った。だからこそ、ゲーム性を武器にするようにしているという。

映画でも小説でもできない、ゲームだからこそできるストーリーテリングは、ゲーム性を絡めることで生まれる。小高氏が重視しているのは、その部分だ。

選択や移動は、説明ではなく体験で物語を動かす

では、ゲーム性はどのように物語へ絡むのか。インタビュアーが『ハンドレッドライン』の重要な局面でプレイヤーに選択を迫る作りに触れると、小高氏は、“自分ごと”として考えてもらう作用もあるとしつつ、それだけに話を留めなかった。

小高氏によれば、選択や移動をプレイヤーにやってもらうからこそ、物語の動かし方がある。さらに、実際にプレイヤーが動かすことで、説明テキストを省略することもできるという。選択や移動は、物語をどう動かし、どの情報をテキストで説明せずに渡すかにも関わっている。

その例として挙げられたのが、『超探偵事件簿 レインコード』の街中の移動だ。小高氏は、街中を移動できるゲームでは、住人たちの会話などのフレーバーがあるだけでストーリーの印象が変わると語っている。たとえば、自由に行動する中で住人たちが肉まんを好きなことを自然に発見し、そのうえでストーリーを進めると、その肉まんに隠されたヒミツを知って驚く。

説明テキストで先に示すのではなく、プレイヤーが街を歩く中で自然に知る情報として置かれている。その流れの中でヒミツを知ることも含めて、インタラクティブな物語だからこそできる体験だと小高氏は語っている

演出を見ながらシナリオを変える作り方は、最初の仕事で確立された

この作り方は、後から付け足された理屈ではない。小高氏が初めてシナリオを担当した携帯アプリ版『探偵 神宮寺三郎』シリーズで、すでにその原型ができていた。

当時の小高氏は、ゲームシナリオを書いた経験も、まとまったシナリオを1本書き上げた経験もなかった。ただ、神宮寺の口調を知るためにシリーズをひと通りプレイし、携帯アプリ版のボリュームや物語の作り方も把握していたため、シナリオ自体にはそこまで苦労しなかったという。むしろ印象に残ったのは、同時に担当したスクリプト作業だった。

スクリプト作業は、キャラクターの芝居や音楽、効果音を指定し、シーンを演出するための作業だ。小高氏はそこで、シナリオを書きながらスクリプトも担当する作り方を培った。「ここで音楽を流すならシナリオを変えよう」「表情が少ないならシナリオで工夫しよう」といったように、演出やゲーム性を考えながらシナリオを作るスタイルは、この最初の仕事で確立されたと語っている。

また、小高氏はプロットの段階で“驚き”の要素を重視している。最初のつかみだけでなく、中盤や終盤にも驚かせるネタを用意し、プロットを考えるときもそこをベースにすることが多いという。

SRPGパートも、ストーリーを盛り上げるための演出の一環

小高氏は『ハンドレッドライン』のジャンル名を“極限”と“絶望”のADVとしているが、自分から積極的に「アドベンチャーゲームを作ります」とは発言していないという。自分の武器は“ストーリーテリング”だと考えており、パブリッシャーと話すときも「ストーリードリブンのゲームを作っています」と伝えている。

『ハンドレッドライン』にシミュレーションRPGパートを入れた理由も、ストーリーと結びついている。同作は戦争がテーマだったため、小高氏はバトルが必要だと考えたという。ただし、そのSRPGパートも、あくまでストーリーを盛り上げるための演出の一環だと語っている。

アドベンチャーというジャンル自体も、“ストーリーを盛り上げるためのゲームの枠組み”のひとつなのかもしれない。小高氏は、そう語っている。

出典

  • 週刊ファミ通 2026年7月2・9日合併号 No.1952「FILE.2 創り手たちの証言 03 小高和剛」(インタビュー元記事)
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