中国のゲームスタジオS-GAMEが手がける新作『Phantom Blade Zero』。発表当初は「ソウルライク」との声が多く見られたものの、戦闘デモの公開を経て、その印象は一変しました。本作は既存ジャンルには収まらない独自の体験を提示し、「武侠アクション」という新たなゲームジャンルの可能性を提案しています。
本記事は、S-GAMEのCEOであり『Phantom Blade Zero』のクリエイターでもあるSoulframe氏が公式Xアカウントで公開した開発者レター「So What Is Phantom Blade Zero?」の内容をもとにしています。
従来ジャンルの枠に収まらない『Phantom Blade Zero』
初期の「ソウルライク」評価と変化
『Phantom Blade Zero』が初めて発表された際には、相互接続型のマップ構造や隠し要素、チェックポイントの存在などから「ソウルライク」と見なされました。しかし、後に公開された戦闘デモにより、プレイヤーからはテンポの速さが注目され、『Devil May Cry』や『Ninja Gaiden』のような「ハック&スラッシュ」ではないかと認識が変化しました。
既存ジャンルへの違和感
開発者は、これらのジャンルを定義づけたクリエイターたちを敬愛し、その作品から多くを学んだと語っています。その一方で、制作の過程で「想定外の道」を歩むことになったとし、『Phantom Blade Zero』は「ソウルライク」でも「従来のアクションゲーム」でもないと断言しています。
“武侠アクション”という新たなアイデンティティ
独自性の源泉は文化的美学
本作の制作当初は、マルチレイヤー構造のマップ上でハクスラ要素を活かすという方向性でした。しかし、アニメーションや背景アセットが融合した結果、中国文化特有の美学がゲーム全体に貫かれることとなり、他にはない体験が生まれました。
この独自性は、中国武術(カンフー)や「侠(Xia)」の精神に深く根ざしています。これらは長い歴史の中で多様な表現形態をとって進化してきました。
ブルース・リーが築いた映画ジャンルの進化になぞらえて
1960年代以降、ブルース・リーをはじめとする功夫の名手たちは、中国武術と西洋の戦闘技術、そしてハリウッドの映像技術を融合させていきました。この過程で「単なるアクション映画」では括れない独自ジャンルが確立され、「カンフー映画」「武侠映画」といった呼称で親しまれるようになりました。
『Phantom Blade Zero』も同様に、単なるARPGの枠に収まらず、「武侠アクションゲーム」として新たなジャンルを切り拓く可能性を持っています。
デモ版に込められた難易度設計の意図
プレイヤーの懸念に応える三段階の難易度
「難しそうで不安」という声に応えるべく、開発チームは本作のデモ版に3つの難易度を用意しています。
- Gamechanger:標準の難易度で、楽しさと歯ごたえのバランスを重視。多くのプレイヤーに適した入門設定。
- Wayfarer:アクションゲーム初心者向けの易しいモードで、スムーズな体験を提供。
- Hellwalker:New Game+でのみ解放される最難関モード。敵AIや攻撃パターンが刷新され、熟練者向けの挑戦が待ち受けます。
これにより、初心者からベテランまで幅広い層に対応した体験が可能となっています。
ゲーム体験の核心:映画的シーンの数々
本作では、単なるアクションにとどまらず、以下のような映画的体験が用意されています。
- 矢が飛び交う中での屋根上ジャンプ
- 疾走する馬車上での戦闘
- 世界を震撼させた事件の真相を解き明かす探索
これらの要素が重なり合い、『Phantom Blade Zero』の独自ジャンル「武侠アクション」の本質を体現しています。