カプコンが2010年代前半~中盤に進めたゲーム開発の変化について、『鬼武者 Way of the Sword』プロデューサーの門脇章人氏とディレクターの二瓶賢氏が振り返った。門脇氏は、当時注力していたモバイルがあまりうまくいかなかったとし、高品質な家庭用ゲームを作ることへ戻る必要があると感じたと説明。二瓶氏も、数多くのゲームを作るのではなく、より少ない作品を高品質に仕上げる方向へ会社全体が変化したと語っている。
両氏の発言は、海外メディアThe Ringerによるカプコン特集に掲載されたもの。現在とは対照的に、カプコンはかつてモバイルを大きな成長分野として位置づけていた。
2011年にはスマートフォン向けソーシャルゲーム事業を拡大するため戦略子会社を設立し、コンシューマ・オンラインゲーム事業に次ぐ「第2の柱」を構築する方針を発表。北米・欧州・日本の3地域に開発拠点を置き、投入タイトル数の最大化を掲げていた。当時は『Smurfs’ Village』がApp Storeの売上ランキングで55か国1位を獲得するなど、実際に成功例も生まれていた。
投入機会を増やそうとする方向性は家庭用ゲームでも確認できる。2010年の決算説明会でカプコンは、開発期間を短縮してフランチャイズタイトルを継続的に投入し、販売機会の最大化を目指す方針を示していた。これを二瓶氏が今回語った方針転換そのものと同一視はできないものの、当時のカプコンが家庭用ゲームでも主力タイトルの投入機会を増やそうとしていたことは公式資料から確認できる。
しかしモバイルはその後苦戦する。2014年3月期には、有力タイトル不足や競争激化によってモバイルコンテンツが「総じて苦戦を強いられた」と報告し、その不振を主因として事業構造改善費用などの特別損失を計上した。
門脇氏はこの時代を振り返り、モバイルはあまりうまくいかなかったとしたうえで、高品質な家庭用ゲームを作ることへ戻る必要があると感じたと説明している。二瓶氏も、会社全体でより高い品質水準を優先する動きがあり、数多くのゲームを作ってその中からヒットが出ることを期待するのではなく、より少ない作品を、より高品質に作る方向へ変化したと振り返った。
その回顧と重なる方針は、当時のカプコン公式資料にも見える。2016年3月期の決算説明会では、グローバルでヒットするには高品質なタイトルが必要だとして、一部作品の開発期間を見直したことを説明。「販売時期、開発の締め切りありき」ではなく、必要なら時間を調整してでも完成度を優先し、「今後は全て高品質なタイトルに仕上げて発売する」との方針を示していた。
ただし、これはモバイル事業からの撤退を意味しない。カプコンは2016年、モバイルコンテンツ事業統括を新設し、「現在遅れを取っているモバイルの業容拡大」を図る方針も示していた。
2026年現在、その事業上の重心はより明確になっている。カプコンは2026年5月の決算説明会で、モバイルゲームの位置づけを問われ、「引き続きコンシューマビジネスを主軸に注力」する方針を説明。モバイルについてはIP認知の拡大や新規ユーザーとの接点として有効だとし、『モンスターハンターNow』のようなライセンスアウトを含む展開を進めるとしている。






















