Nintendo Switch 2版、Xbox Series X|S版、Windows版『ファイナルファンタジーVII リバース』の発売にあたり、浜口直樹ディレクターは移植作業の難しさだけでなく、その過程で見えてきた開発の変化についても語っている。オープンワールドや常時ストリーミングを前提にした本作を、単純に何かを削るのではなく、異なる環境でも同じ作品として成立させること。今回の移植をめぐる話からは、Switch 2版への対応にとどまらず、最終作も含めて、最初から複数環境を前提に設計する開発フローへ移りつつあることがうかがえる。
『FFVII リバース』の移植は、単純なダウングレードでは成立しなかった
『FFVII リバース』の移植が難しかった理由は、単に高負荷なゲームだったからではない。オープンワールドやシームレスな探索、常時ストリーミングを前提に、PS5世代向けタイトルとして設計されていたからだ。前作『FFVII リメイク インターグレード』はPS5向けに展開されたが、ベースにあったのはPS4版『FFVII リメイク』だった。一方で『リバース』は、ゲーム全体の前提そのものが異なっていた。
浜口直樹ディレクターが説明したのも、まさにその点だ。一画面で扱う情報量は多く、プレイヤーの行動や視線によって負荷も変わる。そのため、背景モデルのLODやストリーミング、描画負荷の分散まで含めて、オープンワールド全体の作りをあらためて見直す必要があったという。浜口Dが“マジカルポート”ではないと表現したように、今回の移植は一瞬で片付くようなものではなく、問題をひとつずつ洗い出して潰していく積み重ねだった。
開発フローそのものにも変化が及んでいる
浜口Dの話で重要なのは、移植作業が後から別環境に合わせる段階にとどまっていないことだ。一画面の情報量が多く、プレイヤーの視線や行動で負荷も変わるゲームを、別の環境でも同じ作品として遊べる形にする。そのために、LODやストリーミング、描画負荷の分散まで見直した。性能差に合わせて別物にするのではなく、異なる環境でも同じゲームとして遊べる形を探ったことになる。
プレイヤーがどの環境で遊んでも、同じような熱量で世界に入り込めるかどうか。浜口Dは、据え置き機と携帯機では体験が別物だという従来の前提自体が変わりつつあるとみている。Switch 2のような環境で『FFVII リバース』クラスの大規模RPGが成立する時代になり、「携帯機だからここまで」という考え方は古くなりつつある、という認識だ。
この変化は、開発フローにも及んでいる。以前のように、まずひとつのハードで完成させ、その後に移植を考えるやり方では難しい。描画、ストリーミング、メモリ設計、アセット構成まで含めて、最初から複数環境を前提に組み立てる必要がある。最終作についても、すでにそうした前提を織り込んで設計しているとしている。
体験版をChapter 2まで開けたのも、ゲームの魅力がそこから見えるからだ
今回のSwitch 2版体験版が、PS5版とは異なりゲーム冒頭からChapter 2まで遊べる仕様になっているのも、触りだけではこの作品の面白さが伝わらないと考えているからだ。今回は「触りだけを遊んでもらう」という発想では作っていない。浜口Dによれば、『FFVII リバース』は、実際に世界へ出て寄り道し始めた瞬間から、その魅力が見えてくるゲームだからだ。
いまは動画を見ればゲームの内容自体は把握できる。それでも、「気づいたら時間を忘れて寄り道していた」という感覚は、自分で遊ばなければ伝わりにくい。体験版を長めにした理由は、単に遊べる量を増やすためではない。『FFVII リバース』というゲームの面白さが、世界に出て寄り道し始めたところで初めて伝わると考えているからだ。浜口Dがクイーンズ・ブラッドについて、「本編そっちのけでハマる人が出るくらい」と話したことも、世界に出てからの寄り道を含めて本作の魅力と捉えていることを示すエピソードのひとつといえる。
独自機能よりも、どの環境でも同じ作品として遊べることを優先する
Switch 2ならではのJoy-Conやマウス操作にも対応できるが、そこで別の遊びを前面に出すことはしていない。開発チーム内では、たとえばクイーンズ・ブラッドのようなコンテンツは相性がよさそうだという話も出ていたという。ただ、シリーズ全体として最も強く意識しているのは、「どのハードで遊んでも、ゲーム体験そのものは変えない」ことだ。
ハードごとの差別化を打ち出すよりも、どのハードで遊んでもゲーム体験そのものを変えないことを優先する。独自機能に合わせて遊び方を変えるより、まず同じ作品として成立させることを優先しているわけだ。Switch 2独自機能を前面に押し出さないのも、そうした方針の延長線上にある。
3作目にも、その優先順位は通じている
その先にある3作目について、発売タイミングなど具体的なことはまだ明かされていない。ただ、今回マルチプラットフォーム展開を進める中で浜口Dが強く感じたのは、「ユーザーは同じタイミングで盛り上がりたい」ということだった。3作目をどう展開することがファンにとってもビジネスとしてもベストなのか、かなり真剣に向き合っているという。
浜口Dは、いまは“どのハードで出るか”よりも、“どれだけ同じ熱量で遊べる形にできるか”のほうが重要な時代になってきているともあらためて強調した。だからこそ、3作目を「絶対に中途半端な形では終わらせない」という言葉には重みがある。「“FFVII リメイクシリーズ”を最後までやり切った」と自ら胸を張って言えるところまで持っていく――その言葉は、今回の移植やマルチプラットフォーム展開で何を大事にしてきたのかを、そのまま示している。



