双葉社「THE CHANGE」で、第四境界の藤澤仁総監督へのインタビュー第3回が公開された。藤澤氏は、堀井雄二氏から受けた「ドラゴンクエストはシナリオじゃない」という教えを振り返り、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の結婚イベントにあった「真剣に相手を選ぶ」体験について語っている。
「ドラゴンクエストはシナリオじゃない」と叩き込まれた
第四境界の藤澤仁総監督が、双葉社「THE CHANGE」のインタビューで、堀井雄二氏から受けた教えを振り返った。
藤澤氏は1998年、シナリオアシスタントとして当時エニックスの開発チームに参加。若い頃は、堀井氏が監督を務め、藤澤氏が実務的な作業を担うような役割分担で制作に関わっていたという。
その中で堀井氏から叩き込まれたのが、「ドラゴンクエストはシナリオじゃない」という教えだった。
強い言い方だが、藤澤氏の話はシナリオ不要論ではない。堀井氏が重視していたのは、シナリオそのものよりも先に、プレイヤーに何を体験させるかを考えることだった。
DQ5の結婚イベントにあった「真剣に相手を選ぶ」体験
藤澤氏は、その考え方を示す例として『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の結婚イベントを挙げている。
同作には、プレイヤーが結婚相手を選ぶ場面がある。藤澤氏によると、このイベントでは「真剣に相手を選ぶ」という強い体験が中心にあり、そこから自分だけの物語が生まれる。
あらかじめ用意された物語を追うだけではなく、プレイヤー自身が選ぶ。『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の結婚イベントは、藤澤氏にとって、体験が物語を生むことを示す分かりやすい例だった。
若い頃の藤澤氏は、堀井氏の考えに反発したこともあったという。当時は「そんなものかな」くらいにしか思っていなかったが、いまになれば、その意味がよく分かると振り返っている。
若いスタッフに、いま同じことを伝えている
現在の藤澤氏は、第四境界の総監督として活動している。若いスタッフと仕事をする中で、当時の堀井氏が言っていたことと同じことを、自分が伝えていると語った。
かつて自分がすぐには分からなかったことだからこそ、いまの若いスタッフにもすぐには伝わらないだろうと思いつつ、それでも言うしかない。藤澤氏は、そうした巡り合わせを「因果は巡る」と表現している。
インタビューでは、堀井氏の根底にあるものとして「人をビックリさせたい」というエンタメ精神にも触れている。まだ誰も見たことのないもの、予想を裏切るもの、感情が動くものを作りたい。藤澤氏は、堀井氏の創作姿勢をそう振り返っている。
第四境界の近作としては、現在発売中の『人の財布〜高畑朋子の場合〜』にも言及がある。同作は、読者自身が当事者として物語に巻き込まれていく「読むARG」として取り上げられている。




