PlayStationの生みの親として知られる久夛良木健氏が、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)による新作ゲームのディスク生産終了について、ファンの不満に理解を示しながらも、物理メディアを提供し続けることは「経済的に合理的ではない」との見方を示した。
英国で開催された「Game Republic New Horizons」で海外メディアVGCのインタビューに応じた久夛良木氏は、PS2やPS3の時代にもネットワーク機能は存在していたものの、現在ほど普及していなかったと振り返った。そのうえで、「物理ディスクがゲームを『所有する』ことの象徴になっているのは理解しています。その心理は本当によく分かります」と語っている。
一方、スマートフォンのようなネットワーク接続機器では、物理メディアが必要だとは誰も考えていないと指摘。利用者が自分のコンテンツを持ち続けられると感じているからだと説明し、所有に対する考え方は心理的な問題だとした。
久夛良木氏は、ディスク生産終了に不満を抱く人々の気持ちを改めて理解すると述べつつ、物理ディスクの提供を続けることについて「しかし、経済的に合理的だとは思いません。おそらく心理的な問題なのでしょう」と続けた。
また、現在のSIEには、クラウドゲーミング企業のGaikaiやストリーミング関連企業など、外部から加わった人々が多いことにも言及。そうした人々はネットワーク接続を活用することで、PlayStationを単なるゲーム機ではなく、さまざまなコンテンツを提供する端末として捉えているのかもしれないと推測した。
「彼らはそう考えているのかもしれません。しかし、それが熱心なゲームファンとの間に摩擦を生んでいます」と述べ、ネットワークを中心とする考え方と従来のゲームファンの期待との隔たりを指摘している。
久夛良木氏は以前から、物理メディアに依存しないゲームの未来を構想していた。2006年のPC Watchのインタビューでは、ネットワーク経由でコンテンツを提供する「e-Distribution」構想について語り、将来的にはHDDさえ不要になる可能性に言及している。当時はサーバー側の技術的制約を認め、Blu-ray Discのような大容量メディアにも重要な役割があると説明していた。
SIEは2026年7月、2028年1月以降に発売されるPlayStation向け新作ゲームについて、ディスク版の生産を終了すると正式に発表した。それ以前にディスク版として発売されるタイトルには影響しないとしている。




