セガのサウンドプロデューサー・大谷智哉氏がBillboard JAPANのインタビューに応じ、「カルチャライズしすぎないことがアイデンティティだ」と語った。20年以上にわたり「欧米に寄せない」姿勢を貫いてきた制作判断の背景と、映画をきっかけにゲーム楽曲カタログ全体の再生が伸びる構造が、制作者とライセンス担当者の証言から浮かび上がっている。同インタビューには楽曲ライセンス担当の木下亮氏、岩崎剛氏も参加した。
「カルチャライズしすぎない」——20年貫いた制作姿勢
大谷氏は、自身の音楽遍歴には洋楽の影響が大きいとしながらも、「欧米に寄せよう」という意識はないと明かした。日本人的なポップセンス、いわゆる「エモい感じ」を残したまま、メタルコアなど今風のアレンジを取り入れる。ジャンル・年代・国籍を問わず、自分の中でミックスされた感覚をそのまま出す方がよい時代だという。
「カルチャライズしすぎないことこそがアイデンティティなのかなと思います。」 ——大谷智哉、セガ サウンドプロデューサー / Billboard JAPANより
大谷氏が初めて担当したソニックタイトルは2001年の『ソニックアドベンチャー2』だ。それ以前からセガのコンシューマーサウンドチームはグローバルを前提に楽曲を作っていたという。20年以上同じスタンスを続けてきたことが成果につながったと大谷氏は述べている。
制作姿勢の根底にあるのは「作品ファースト」への共感だ。ゲーム開発のそばにいるコンポーザーとして、誰よりも作品の理解者でありたいというマインドで制作に取り組んでいると大谷氏は語っている。
経産省ランキングに名前が載った——数字が示した手応え
大谷氏が成果を実感したのは、2024年の経済産業省の報告書だ。海外で人気の日本の楽曲・アーティストのランキングに自身の名前が入っていたことに、大きな衝撃を受けたと振り返っている。
セガ公式Instagramによると、大谷氏はアーティストランキング10位に入り、楽曲「Undefeatable」(ソニックフロンティア)は15位にランクインした。大谷氏はこの経験を、考え方の大きな変化であり刺激になったと表現している。
映画に使われていない曲まで再生が伸びる構造
木下亮氏が注目するのは、映画に直接使われていなくてもキャラクターに関連した曲の再生が伸びる現象だ。
「面白いのは、映画に直接使われていなくても、登場キャラクターに関連した曲が伸びることです。」 ——木下亮、楽曲ライセンス担当 / Billboard JAPANより
『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』ではシャドウ・ザ・ヘッジホッグが物語の中心だったため、過去のゲームシリーズのシャドウ関連曲やサントラが大きく伸びたという。同作の全世界興行収入は4億2,500万ドルに達し、シリーズ累計では10億ドルを突破した。
岩崎剛氏によれば、映画はファミリー向けのため親子で観るファンが多い。かつてゲームを遊んでいた世代が親になり、子供と映画を観て昔の曲を思い出して聴く——そうしたタッチポイントの役割が大きかったとのことだ。
木下氏は、映画の内容を取り入れたゲームのDLC制作や、配信サントラのリリースを映画公開日近辺に合わせることが今回初めて実現したと説明している。新作・既存カタログの両方で相乗効果が数字に表れたという。
※本記事はBillboard JAPANの報道をもとに、関連情報を加えて再構成しています
出典
- Billboard JAPAN:<インタビュー>世界が熱狂するSEGA SOUND TEAMの正体――『ソニック』からセラニポージまで、20年の時を経て花開くコンテンツ活用戦略
- セガ公式Instagram:経産省報告書での大谷智哉ランクイン告知投稿
- セガ公式サイト:映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』全世界興行収入4億2,500万ドル達成



