『The Duskbloods』はなぜ生まれたのか。宮崎英高氏が語る『ダークソウル』から続くオンライン設計思想と新たな挑戦

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フロム・ソフトウェアがNintendo Switch 2向けに開発している新作『The Duskbloods(ダスクブラッド)』について、ディレクターの宮崎英高氏が制作の背景やゲームデザインの狙いを語った。『デモンズソウル』や『ダークソウル』で培ってきたオンライン要素への発想を、今回はオンラインゲームという形式の中で掘り下げる作品となっている。

宮崎氏は、『ダークソウル』の「誓約」のようなオンライン要素は、もともと自身の好みに強く結びついたものだったと説明している。ただ、シングルプレイ中心の作品では盛り込みにくいアイデアもあり、いつか別の形で活かしたいと考えていたという。そこで今回は、これまで扱いにくかった発想を、オンラインゲームという形式で形にすることにしたという。

フロム・ソフトウェア作品のオンライン要素は、単に対戦や協力プレイを加えるだけのものではなかった。ひとりで進める冒険の中にも、他者の存在や関係性を感じられるような設計が、『デモンズソウル』や『ダークソウル』には取り入れられてきた。『デモンズソウル』ではネットワーク要素がシングルプレイの体験を広げ、『ダークソウル』では「誓約」がプレイヤーごとの所属や他者との関わり方を生んでいた。

『The Duskbloods』では、そうした考え方をさらに前に出し、オンライン上でプレイヤー同士の間に生まれる出来事も体験の一部として扱う設計になっている。その具体的な形となるのが、PvPとPvEの要素を含むオンラインアクションである。

もっとも、宮崎氏は「PvPvE」という言い方には少し補足が必要だとも語っている。PvPとPvEの要素を併せ持つという意味では間違っていないが、この言葉から脱出シューターのような形式を連想されると、少し実態とずれてしまうという。

宮崎氏が目指しているのは、撃破数や対戦技術だけで勝敗が決まるゲームではない。開発でも「PvPの比重」は重視しているポイントのひとつで、プレイヤー同士の直接対決をどこまで勝利に結びつけるか、プレイ時間の中でどの程度の比率にするかを調整しているという。その考えを支える仕組みのひとつが、「美徳」と呼ばれる勝利点システムだ。最終戦を除き、勝敗は敵を何人倒したかではなく、美徳をどれだけ集めたかで決まる。しかも美徳はPvPだけでなくPvEなど複数の行動から得られるため、立ち回りや戦略が結果に大きく関わってくる。

本作では、PvPもPvEも勝利に向かう手段のひとつとして位置づけられている。純粋なアクションの腕前だけでなく、その場でどう判断し、どう動くかでも勝ちを狙える設計というわけだ。この考え方は最終局面にも及んでいる。ネットワークテスト版では最後に上位3人による戦いが行われるが、製品版では最終戦がPvPではなく、ボス敵とのPvEになるパターンも用意されるという。さらに、キャラクタービルドによって、PvE形式の最終戦を目指す遊び方にも対応するという。

その設計思想を象徴する要素として挙げられているのが「烙印」だ。烙印は、キャラクターごと、あるいはプレイごとに設定できる追加目標のような要素で、「宿敵を倒す」「かつての恋人に花を捧げる」といった目的が与えられる。さらに、特定の組み合わせによって専用のセリフが発生し、新たな物語の断片が得られることもあるという。勝利だけを追うのではなく、その試合の中でどんな出来事が起きたかまで体験に組み込もうとしている点は、本作の特徴的な設計のひとつと言える。

ストーリー面でも、本作はオンラインプレイを前提に組み立てられている。ただし、物語を追うためにオンライン対戦で勝ち続けなければならないわけではない。宮崎氏は、「まずはストーリーを楽しみ、その過程で段々と勝てるようになり、また勝ちたくもなる」という流れが理想だと説明している。拠点となる「夜の館」ではNPCとの会話で物語が進み、オンラインプレイで手に入れたアイテムやそのテキストを通じて、断片的に物語が語られていく。

シングルモードも用意されるものの、その内容はキャラクターカスタマイズや練習、8人対戦の模擬戦などに限ったミニマムなものとなる。キャラクターの物語を含む本編の進行は、あくまでオンラインプレイが前提だ。また、血族キャラクターは能力や見た目だけでなく、「烙印」や特殊能力によってもカスタマイズできる。

『The Duskbloods』でプレイヤーが操る「血族」は、吸血鬼をモチーフにしながらも、単なる怪物ではなく、知性や哲学、文化、歴史を持つ種族として描かれるという。一方で、アクション面では高い機動力を持つキャラクター性に合わせ、ジャンプや空中制御を活かせる立体的なフィールド設計が採用されている。

宮崎氏自身が「新しいというか、変なゲーム」と表現する『The Duskbloods』には、フロム・ソフトウェアがこれまで積み重ねてきたオンライン設計の発想を、オンラインゲームという形式の中で再構築しようとする試みが見える。PvPやPvEという言葉だけでは収まりきらない、ドラマ性やロールプレイ性を含んだオンライン体験がどのような形で完成するのか、今後の続報が注目される。

出典:電ファミニコゲーマー / Techno Edge

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