『スプラトゥーン レイダース』は、7月21日時点の初動レビューでは、全体として好評な滑り出しだった。Metacriticでは、Nintendo Switch 2版のメタスコアは80点。批評家レビュー35件の内訳は、好評28件、賛否両論6件、不評1件。本稿では、その時点の表示をもとに各レビューを見ていく。(※公開時点ではMetacriticの批評家レビュー数は66件に増えているが、メタスコアは80点を維持。本稿は7月21日時点の初動表示を基準にしている)
ただ、全体としては好評でも、どこに面白さを感じるかによって印象が変わる作品でもある。ブキと2つのガジェットを組み替えながら、ミッションや敵に応じて戦い方を試していく。その流れを試行錯誤として楽しめるか、それとも装備を整えてまた挑むことを同じことの繰り返しに感じるか。そうした受け止め方の違いが、レビューの温度差として表れている。
特に好評なのは、大量のシャケを相手にする戦闘と、装備が増えるほど戦い方の幅が広がっていく部分だ。Metacriticに集まったレビューでも、成長やカスタマイズ、装備構築は繰り返し長所として挙げられている。一方、40点を付けたGuardianは、装備が揃って戦闘が面白くなるまでに時間がかかることや、分かりやすく単純なステージ構造によって探索やパズルの要素が薄れたことを問題視した。
“究極のワンオペ”を目指してサーモンランを再構築
任天堂の開発者インタビューによると、本作は『スプラトゥーン3』の更新が落ち着いた時期に、「サーモンランの遊びを利用して、1人でとことん遊べるゲームがつくれないか?」という検証から始まった。
Nintendo Switch 2の性能を生かしてシャケの数を増やし、それを1人で倒し続ける構想を、開発陣は“究極のワンオペ”と表現している。本作は『スプラトゥーン4』ではなく、対戦以外の遊びを独立させ、新しいプレイヤーの入り口を作るスピンオフとして開発された。対戦の遊びづくりも今後続けていくという。
開発初期には、自動で動く仕掛けを配置するタワーディフェンス型の試作も行われた。しかし、要塞を作って見守るだけでは、インクの中を移動しながら自ら攻撃するシリーズ特有の濃密なアクションを生かせない。そこで、プレイヤーのアクションそのものを直接拡張し、自ら敵を倒しに行く遊びへと方向転換した。そのために生まれたのがガジェットだ。
ガジェットはブキとは別に2つ装備でき、使うと再使用まで待ち時間がある。1つのブキと2つのガジェットを状況に応じて切り替えながら、大量のシャケを効率よく処理していくことが戦闘の中心になる。
失敗しても前進できる成長ループ
ガジェットには入手したパーツを装着できる。単純に威力を高めるだけでなく、攻撃方法や性質が変わるため、同じガジェットでもカスタマイズ次第で使い方が変わっていく。
TheSixthAxisは、ブキ、インクタンク、ガジェット、能力を組み直すことで、難しいミッションや特定の敵への対処が変わる点を評価した。失敗して拠点へ戻されても、獲得した装備や経験値は次の挑戦に持ち越されるため、挑むたびに少しずつ準備を整えていける。
Pocket Tacticsのレビュアーは、約35時間遊んだ時点でも、ブキやガジェットの収集と強化を楽しめたとしている。
再挑戦が「実験の場」になるか、「反復」になるか
クリア済みミッションには、高難度の「ピリ辛」版が用意されている。Nintendo Lifeによると、敵の配置や数、種類が変化し、異なる報酬も得られる。あるレビュアーは、こうした変化に加えて装備の組み合わせを試せることが、クリア済みミッションへ戻る楽しさにつながっていると評価した。
Nintendo Lifeの別のレビュアーは、カスタマイズの幅を高く評価しながらも、ウズシオ諸島の3つの主要地域は色調以外の違いが少なく、もう少し変化が欲しかったと指摘している。それでも、別の装備構成を試すためにまた遊びたいとしており、景観の変化の少なさよりも、戦い方を変える面白さが上回ったようだ。
40点を付けたGuardianも、装備やガジェットの選択肢が増え、難度が上がるにつれて戦闘が面白くなること自体は認めている。ただし、そこへ到達するまでに時間がかかるうえ、ステージは複数人でまとまって進みやすい単純な構造で、道具を工夫して隠された場所を見つけるようなパズル的な楽しさに乏しいと批判した。拠点で装備を整え、短い再挑戦可能なミッションへ向かう流れについても、一般的な協力型アクションゲームと似た体験に感じられたとしている。
もっとも、すべてのミッションが同じ形式で進むわけではない。Meristationによると、指定された装備で挑む短い課題、広めの場所で複数の結晶を回収するもの、地下遺跡を探索するもの、制限時間内にイクラを集める連戦、足場移動や小規模な探索を交えた直線的なステージなどがある。同メディアはこうした違いを評価する一方、物語を進めながら攻略する従来型のステージや、大型ボスとの戦いはさらに欲しかったとも指摘している。
Meristationは、本編クリアまでを15~20時間、ポストゲームを含めると少なくとも50時間以上遊べると報告している。クリア後も高難度ミッションが続き、敵の構成が変わったステージへ、育てた装備で挑戦できる。
1人で完結でき、ほぼ全編を協力でも遊べる
本作は、1人でもじっくり遊べるように作られている。難易度を変更でき、失敗してもレベルや装備を強化して再挑戦できる。協力プレイは必須ではなく、My Nintendo Newsも、本編全体をソロで進められると書いている。
その一方で、Nintendo Lifeによると、ほぼすべてのステージは協力プレイにも対応しており、クリア時の進行は参加者全員に反映される。協力中も各プレイヤーが選んだ難易度は個別に維持されるため、経験や腕前の異なる相手とも遊びやすい。
Guardianは、本編をソロで問題なく進められることを認めつつも、短いミッションを繰り返しながら各自で装備を整えていく構造は、協力プレイと相性がよく、仲間と遊ぶほうがより楽しめると評価している。これはレビュー全体の共通見解ではないものの、1人でビルドを試行錯誤したいのか、仲間と大量のシャケをさばきたいのかで、魅力を感じるポイントは変わってきそうだ。
インターネット通信では、フレンドを含む最大4人で遊べるほか、プレイ中に「ヘルプ」を要請し、一時的にマッチングした相手と攻略することもできる。
新規プレイヤーの入り口だが、物語中心の作品ではない
任天堂は、対戦以外の遊びをスピンオフとして独立させることで、これまで『スプラトゥーン』に触れてこなかった人がシリーズに触れる入口を作りたかったと説明している。
ただし、本作は物語を通してシリーズの世界観を一から丁寧に案内するタイプではなさそうだ。My Nintendo Newsは、物語そのものはそれほど深くなく、初めて『スプラトゥーン』に触れる人にはやや表面的に映る可能性があると評している。一方で、島で見つかる記録には、これまでシリーズを遊んできた人ほど楽しめる設定も含まれているという。
パフォーマンスについては、My Nintendo NewsとNintendo Lifeが、多数の敵が現れる場面でも60fpsを安定して維持していたと伝えている。ただし、Indigo GEEKは、重大な不具合や大きな性能上の問題は見当たらなかったとしつつも、描画距離が短く、遠くの敵の表示が遅れたり、距離が離れると消えたりする場面があると指摘した。
装備を組み替えながら同じ戦場に何度も潜り、自分なりの戦い方を少しずつ固めていく。その手触りを楽しめるかどうかが、本作の印象を左右しそうだ。
『スプラトゥーン レイダース』はNintendo Switch 2向けに2026年7月23日発売予定。価格はダウンロード版が6,480円、パッケージ版が7,480円。Nintendo Switch 2本体1台では1人で遊べるほか、ローカル通信とインターネット通信では2~4人の協力プレイに対応する。ローカル通信では人数分の本体とソフトが必要で、インターネット通信の利用にはNintendo Switch Onlineへの加入が必要となる。
出典
- Metacritic「Splatoon Raiders」





