『スプラトゥーン レイダース』楽しそうなシャケを一方的にシバく構図に「かわいそう」の声。爽やかな無人島を“やべぇ所”へ大幅変更

Splatoon-raiders-interview-2_260722

『スプラトゥーン レイダース』の舞台・ウズシオ諸島は、初期のコンセプトアートでは、浮き輪で遊ぶシャケたちが暮らす爽やかで明るい無人島として描かれていた。ところが開発中の試遊では、楽しそうに暮らすシャケをプレイヤーが一方的にシバき、大切なオタカラを奪っているように見えてしまい、試遊した人たちからは口々に「シャケがかわいそう」という反応が相次いだ。これを受けて開発チームは、「やべぇ所に来ちまった」をキーワードに、島のビジュアルとBGMの方向性を大きく見直したという。

本作は、『スプラトゥーン』シリーズ共通の基本操作を活かしつつ、対戦ではなく1人でじっくり遊べるように作られたスピンオフ作品で、2026年7月23日にNintendo Switch 2向けに発売される。任天堂が7月21日に公開した公式インタビューでは、現在の舞台デザインが形作られた経緯が明かされている。

アートディレクターの園山氏によると、舞台が島に決まった当初は、これまでのシリーズ作とは地形的に切り離された場所をワクワクしながら冒険できるような、爽やかで明るいコンセプトアートが制作されていた。そこには浮き輪で遊ぶシャケの姿も描かれており、開発チームとしても、実装すれば面白くなると考えていたそうだ。

しかし実際に遊べる形になると、印象は大きく変わった。楽しく暮らすシャケたちをプレイヤーが一方的にシバき、彼らが大事にしているオタカラを無理やり奪って喜んでいるように見えてしまったという。

シャケたちが談笑する場面では、シャケを生き物として身近に感じる描き方も相まって、試遊した人たちは申し合わせたわけでもないのに、口々に「シャケがかわいそう」と反応した。これが、ビジュアルの方向性を大きく練り直すきっかけになった。

同じ問題はサウンド面にもあった。初期のBGMは、リゾート地のようなコンセプトアートをもとに、冒険感のある和気あいあいとした曲として作られていたという。その結果、かわいいシャケを積極的にシバく印象がさらに強まり、ゲームを進める目的も見えにくくなっていた。

そこで開発チームは、「やべぇ所に来ちまった」をキーワードにデザイン方針を大きく転換した。ただ、その時点では開発がある程度進んでおり、登場するシャケの種類や地形の大まかな特性を変えるのは難しかったという。

当初は、ゴミや奇妙なオブジェクトなど、ネガティブな印象を与えるものを加える方法も試された。しかし、きれいな海や冒険心を誘う白浜が基調のままでは、十分に“やべぇ所”とは感じられなかった。

そのため開発チームは、島の基調そのものから見直すことにした。周囲のオブジェクトやライティングの細部まで全体を見直し、初期案にあったウォータースライダーのような設備は、壊れて荒廃した状態へと変更。さまざまなものをサビさせ、シャケの様子も従来以上に尋常ではないものへと改められた。

BGMでも、様子のおかしいシャケたちがいる場所に踏み込んでしまった感触が重視された。サウンドディレクターの田村氏は、シャケにとっては心地よい音楽かもしれない一方で、イカやタコが聴くと「なんかやばい」と感じられることを目指したと説明している。

楽曲は、ウズシオ諸島のシャケたちが慣れ親しんだ音楽を現地収録したようなイメージで制作された。テクノやダブ、ミニマルミュージックをベースに、本来は電子楽器が中心となる音楽性を、島の漂着物などを使ってシャケたちが再現するという発想も取り入れられている。

この方向転換は、舞台を不気味に見せるためだけのものではない。本作は、遊び始めの敵が強く、プレイヤーが成長してクリアできるようになるまで何度も負けることを想定して作られている。

ディレクターの伊藤氏によると、敵が危険な存在に見えなければ、負けたときの納得感を得にくかったという。島と敵を“やべぇ”ものとして描くことで、「こんな場所でこんな敵にやられるなら仕方ない」と受け止められる空気が生まれ、プレイにも納得感が出るようになったとしている。

出典

タイトルとURLをコピーしました