『ペルソナ3』『ペルソナ4』『ペルソナ5』は、最初からあれほど長いゲームを目指して作られていたわけではなかったという。
3作でディレクターを務めた橋野桂氏は、9月23日に開催されたゲームカルチャーイベント「The Tenth Mosaic」の鼎談で、過去作を振り返って「ゲームがちょっと長すぎたかな」と発言。続けて「これは初めて言うんですが、いつもあんなに長くするつもりはないんです」と明かした。橋野氏によれば、ゲームを作り上げていくと結果として長くなってしまうという。「あの長さは、設計されてないんです」と振り返っている。
『P5』でも、開発中に内容を積み重ねていった結果、ボリュームが膨らんでいた。橋野氏は2016年の「ペルソナマガジン #2016 MARCH~」掲載のインタビューで、各ダンジョンなどに妥協なく内容を盛り込み、「妥協なくボリュームを盛ったら大変なことになった」と語っていた。
そして現在、橋野氏は長大なプレイ時間をどう捉えているかについて考えを述べている。世の中にはゲームだけでなく大量のコンテンツがあり、使える時間には限りがある。金曜の夜から遊び始め、土日も夢中になったのにまだ終わらない――橋野氏はそんなゲームを例に挙げ、よほど特別な作品でなければ手を伸ばしづらくなると話す。
「今の時代、80時間、100時間というプレイ時間は、ちょっと長いとは思います」
だからといって、ナラティブやキャラクター、体験そのものを削りたいわけではない。橋野氏が考えているのは、それらを残したまま、これからのプレイヤーに合わせて「システムや描き方」を変えることだ。
「体験の深さは変えずに、より深く、むしろ進化もさせながら、入り口のハードルを下げる」
今後は、そんな作り方に挑戦したいという。
橋野氏は今年1月にも、JRPGが持つ強みを残しながら、より幅広い層が遊びやすいフォーマットへ更新していきたいとの考えを語っていた。当サイトで紹介したインタビューでは方向性にとどまっていたが、今回は「80~100時間はちょっと長い」「過去作の長さは設計されていなかった」と、本人が感じている課題が具体的に示された。
橋野氏は『P5』以降の『ペルソナ』シリーズには「あまり関わっていない」としており、現在は後輩世代がP-Studioの制作を担っている。そのため、今回の発言が現在の『ペルソナ』シリーズや今後のナンバリング作品のプレイ時間を示しているわけではない。
橋野氏が今後のRPGで目指すのは、単に短時間で遊べる作品でも、長さに見合うだけの娯楽を詰め込んだ作品でもない。何十時間もプレイした先に「楽しかった」だけでは終わらず、その後の現実の生き方にも「なにかしら背中を押されるような記憶」が残ること。橋野氏はそれを以前から目指してきたRPGのあり方だとしながら、「いま、十二分にできているとは思っていない」と語っている。






















