『極限脱出』シリーズや『AI:ソムニウムファイル』シリーズなどを手がけたゲームクリエイターの打越鋼太郎氏が、約1年半にわたって開発していた新作ゲームについて、中止時点でシナリオもほとんど終わりかけていたことを明かした。すでに多くの素材も制作されていたが、開発は一時保留ではなく、完全にキャンセルされたという。
打越氏は10月15日、自身が代表を務める新会社「CRASH KEYS」の設立を発表するとともに、進めていた新作ゲームの開発中止を公表。ファミ通.comのインタビューで、プロジェクトは一時保留ではなく完全な中止だと改めて明言した。
1年半の制作で多くの素材ができあがり、シナリオもほとんど終わりかけていたことから、打越氏は「もったいないですね」と惜しむ。現状ではどうにもならないとしながらも、「いつか何かのタイミングで世の中に出せたらな」と、作品を世に送り出すことへの希望を語っている。
その作品が、これまで手がけた既存IPに関係するタイトルだったのかと尋ねられると、回答を控えた。ただし、打越氏によれば、ファンがそのタイトルを聞けば「鼻血を出して3日3晩踊り狂ったかもしれない」ようなものだったという。
それだけに、突然の開発中止は打越氏にとって「人生のワースト3に入るくらいの大事件」だった。知らせを受けた当日はあまりの驚きに実感が湧かなかったものの、翌日から3日間ほどは何もする気が起きず、ひたすら寝込んでいたという。翌週の東京ゲームショウで人と会う約束があったことや、ファンから日々届く応援のメッセージが、気持ちを立て直す支えになったと振り返っている。
開発中止の理由については、詳しい事情を明かせないとしつつ、「端的に言うと、パブリッシャーの方針転換と言えると思います」と説明。作品の規模に対してどれほどの売上や利益を見込むかという判断が、厳しいゲーム業界の状況のなかで変わった可能性に言及した。
このプロジェクトは、CRASH KEYSの当面の事業を支える柱になるはずだった。打越氏はその喪失感を、みんなで1年半かけて作ったトランプタワーが突然吹き飛ばされたようなものだと表現。開発中止によって入ってくるはずだった報酬も失われ、新たな仕事を探す必要に迫られたことが、予定していた新会社の発表を前倒しする理由になったという。
ともに制作を進めてきたスタッフに対しても、打越氏は「本当に申し訳なく思っています」と語っている。




















