Unknown Worlds Entertainmentが、早期アクセス中の『Subnautica 2』について、初期段階で検討・試作していた複数のアイデアを明らかにした。講演では、巨大潜水艦を拠点にVoidへ向かうプロトタイプや、生物同士の関係まで動かす生態系シミュレーション、さらに複数の惑星を巡る構想も紹介されている。
内容が語られたのは、gamescom dev 2026で行われた講演「The Perils and Freedom of Making a Sequel to ‘Subnautica’」だ。登壇したのはUnknown WorldsのクリエイティブディレクターAnthony Gallegos氏。韓国メディアInvenの現地レポートによれば、外部未公開だった初期プロトタイプ映像も披露され、廃棄された機能とその理由があわせて説明されたという。
『Subnautica 2』開発では、「3分の1の法則(Rule of Thirds)」がひとつの目安になっていたそうだ。初代と同じもの、改善するもの、新しいものをそれぞれ3分の1ずつ置いていく、という考え方である。作品を厳密に三等分するためのルールではなく、開発中の方向性を見直すための枠組みに近かったようだ。初期段階では「初代と違うものにしたい」「より大きなものにしたい」「それでも馴染みのあるものにしたい」という考えが同時にあったという。なかでも強かったのは、新しい方向へ踏み出そうとする力のほうだった。
その延長線上にあったのが、複数の惑星を巡る案だ。Unknown Worlds創設者で、初代『Subnautica』を率いたCharlie Cleveland氏が提案したもので、惑星ごとに景色を変えるだけでなく、同じ資源でも集め方そのものを変える発想が含まれていた。たとえばチタニウムを、ある惑星では地中から採り、別の惑星では魚の鱗や器官のような生体素材から得る、といった具合である。
講演で示されたコンセプトアートには、川のそばに巨大な木が立ち、その根元に地上基地が置かれ、周囲を飛行ビークルが行き交う光景が描かれていた。もっとも、この複数惑星案は講演では構想として触れられたのみで、生態系システムや後述する「Void Expedition」のように一定期間プロトタイプが作られていたのかどうかは分からない。
実際に試作まで進んだもののひとつが、生態系シミュレーションだった。海藻の森が成熟して種を広げ、それを食べるウニが増える。さらに後の段階では、そのウニを捕食する存在まで組み込まれていたそうだ。ただ、この仕組みは最終的に採用されなかった。プレイヤーに何が起きているのかを理解させようとすると、数値やグラフを多く見せるUIが必要になる。そうした体験は『Subnautica』らしいものではないと判断されたためだ。
一方で、環境を治癒・再生するという方向性は残り、汚染された場所を浄化すると周囲が回復していく仕組みへとつながっているという。生態系システム自体は初代『Subnautica』開発時にも一度試され、やはりUIの負担から見送られていた。Gallegos氏はその経緯を聞いたうえで再挑戦したものの、結局は同じ問題に行き着いたと振り返っている。
より大きな試みとして紹介されたのが「Void Expedition」だった。初代『Subnautica』におけるVoidは、世界の外縁に広がる危険地帯として知られている。ファンからは長年、Voidを探索したいという声が寄せられており、開発側はそれを、Voidそのものを遊びの目的地にしてほしいという要望として受け取った。そこで考えられたのが、巨大潜水艦を拠点にVoidへ向かい、探索を終えたら帰還する、というループである。当時検討されていた、終わりなく遊び続けられるゲーム構造とも相性が良かったという。
ただ、マルチプレイ中に移動する巨大潜水艦を同期させられなかったという。そのため試作版では、実際に海中をそのまま航行させるのではなく、2Dマップ上で潜水艦を操作し、その地点に対応するエリアを読み込む方式が採られていたそうだ。その形式で約6カ月にわたって開発を続けたものの、『Subnautica』というより協力型の航海ゲームに寄っていくと判断され、この案は採用には至らなかった。見直されたのは、こうした大掛かりな案だけではない。小さな仕様も対象になっていた。たとえば、同じアイテムをまとめて持てるスタック機能だ。ところが、プレイヤーが大量のアイテムを持ち歩けるようになると、外へ探索に出て資源を集め、限られた所持容量を抱えて基地へ戻る、という『Subnautica』の基本的な循環が崩れてしまった。チームは数値調整も試したものの、最後はスタック機能自体を撤回している。
こうした試行錯誤を経て、チームは初代『Subnautica』そのものを改めて見直すようになった。長く在籍するスタッフでさえ、開発途中で削除された機能が製品版にも入っていたと記憶していることがあり、逆に実際に入っている機能を知らないケースもあったという。そのため、人の記憶ではなく、ゲームそのものを事実の基準に置くようになった。疑問が出れば初代『Subnautica』や『Subnautica: Below Zero』を実際に起動し、確認することも習慣になっていったそうだ。
Gallegos氏は講演の最後で、続編に何を足すかを考える前に、まず「何を失ってはいけないのか」を理解する必要があるとの考えを示した。
出典:Inven



