「僕が引退したあとはPCと同じになってしまった」PlayStationの生みの親・久夛良木健氏が語る技術革新の停滞

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PlayStationの生みの親として知られる久夛良木健氏が、自身の引退後にPlayStationが「PCと同じになってしまった」と語った。PCと家庭用ゲーム機の融合による市場拡大は認める一方、それが技術革新にはつながらなかったと評価している。

久夛良木氏は、電気通信大学で9月29日に開催されたイベント後の4Gamerのインタビューで、初代PlayStationからPS3までの時代を振り返り、当時のPlayStationは「間違いなくテクノロジードライバーだった」と述べた。ゲーム機に求められる高いリアルタイム性と応答性を実現するため、あらゆる先端技術を取り入れていたという。

当時はゲームの規模を拡大し、グローバルなPlayStationチャンネルと巨大なエコシステムを築きながら、次々とイノベーションを起こそうと考えていた。しかし、自身の引退後については「PCゲームの人材が入ってきて,PCと同じになってしまった」と振り返っている。

もっとも、久夛良木氏はこの変化を全面的に否定しているわけではない。PCと家庭用ゲーム機が融合すれば、ゲームメーカーにとって市場は大きくなる。その利点を認めたうえで、「でもそれがテクノロジーの進化を呼び起こしたかといえばそうじゃなかった」と語った。

久夛良木氏がかつて目指していた技術革新の一端は、2005年のPC Watchのインタビューからもうかがえる。当時、PS3を「エンタテインメントのために作ったコンピュータ」と位置づけ、IBM、東芝とのCell共同開発や、NVIDIAとのGPU開発について説明していた。NVIDIAのジェンスン・フアン氏とは将来のロードマップまで描いており、その出発点がPS3向けの「RSX」だったという。単に汎用コンピューターの性能を高めるのではなく、それまで不可能だった新しいエンタテインメントを生み出すことを重視していた。

今回のインタビューでは、そのNVIDIAに加え、PS5で採用されているAMDにも言及した。両社がその後AI分野へ進んだことを挙げ、「AIのほうがはるかに高度な技術を扱っているけれども,今のゲーム業界はそこに入れていない」と指摘している。現在のSIEもAMDとの共同開発によるAI技術を採用しており、PS5 Proではニューラルネットワークとアルゴリズムを刷新した改良版PSSRがすでに実装されている。

久夛良木氏はゲーム開発そのものの進歩にも厳しい見方を示した。初代『バーチャファイター』からそれほど時間を置かず、初代PlayStation向けの『闘神伝』ではテクスチャマッピングが採用されたことを例に挙げ、『闘神伝』は10人以下のチームがわずか3か月で開発したと説明。対して現在は膨大な開発期間と人員を投入しながらも、シェーディングが少し綺麗になり、NPCが多少話せるようになった程度で、AIの進歩と比較すると「進化が止まっているように思える」と語っている。

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