『STRANGER THAN HEAVEN』について、エグゼクティブディレクターの横山昌義氏が4Gamerのインタビューで、当初は三部作として考えていた50年の物語を1本に収めた経緯を語っている。RGGスタジオの新作として2027年1月15日に発売予定の本作は、1915年の小倉から1965年の新宿まで、主人公・大東 真の人生を複数の時代と都市にまたがって描く。サブストーリーからメニュー画面まで、これまでのスタジオ作品のお約束を一度リセットしているという。
50年を1本に収めるまで
『STRANGER THAN HEAVEN』は、一番最初の企画段階では「三部作」として考えられていた。50年間という流れは1作で描くには長すぎるし、あまりに大ボリュームなゲームはユーザーにとってもハードルが高い。前編・中編・後編のように、もう少しライトに分けて出す案があったのだという。
ところが、いざ作り始めてみると「やっぱり全部を一気に遊んでほしい」となった。分割すれば次の作品までに1年ほど空き、その間にプレイヤーは途中で嫌になってしまう。それは作っている側も同じだとして、最終的に「1本のゲームに50年全部入れちゃえ」という今の形に落ち着いた。
全体の正確な規模はまだ伝えられる段階ではないというが、メインストーリーは長い。狙って長くしたというより、描くべきものを込めていったら自然と長くなったという感じだと、横山氏は説明している。
その出発点にあったのは、横山氏が『龍が如く』シリーズを長く作るなかで抱えていた疑問だった。現代劇として描く場合、そこにはすでに組織が存在していて、その中に身を置く人間や、足を踏み入れざるを得なかった人間を描くことになる。そうではなく、そもそもの“最初の人たち”が何を求めて集まり、どんな理由で組織の形を作っていったのか。そのプロセスを一度描いてみたいと考えていたという。
ただし、本作は「龍が如く」シリーズの起源を直接描く話ではない。横山氏は、あくまで独立した新しいゲームとして作ろうと考えたと説明している。
舞台となる年代は、先に年表を置いたのではなく、主人公の人生から逆算して決められた。大東が若い頃に密航船で小倉へ着く始まりと、最終的に神室町(新宿)へたどり着く終わり。この2点をまず決め、点と線をつないだ結果、間にある時代が決まったのだという。小倉、呉、大阪、熱海、新宿へと、すべての時間は一本道で進む。過去の時代に戻って何かを取り直すような要素はない。
街は再現ではなく“表現”
街の規模について、横山氏はあえて「龍が如く」と比較するなら、それぞれの面積はこれまでと同じくらいだと見ている。ただし5つの時代と都市でスケール感はまちまちだという。建物の数はかなり増えているが、当時の建物は階数が低く、縦に広がる構造があまりない。だから探索の密度としては「ニアリーイコール」になるという見立てだ。
この街作りを、横山氏はリアルな再現ではなく“表現”だと説明する。当時の写真や新聞、映像を手がかりにしながらも、ゲームとして楽しくなるよう架空の街を構築しているからだ。ストーリー面でも「史実に基づいた話」ではまったくなく、描かれるのは大東 真の身の回りで起こることだけ。そこは明確にゲームオリジナルの架空世界だと言い切っている。
お約束を一度リセットした作り
今作では、サブストーリーやミニミッション、メニュー画面に至るまで、これまでのスタジオ作品のお約束を一度すべてリセットしている。その点も、試遊されたバトルの操作感も含めて、本作が「龍が如く」のスピンオフや外伝ではない“完全新作”だと感じてもらえると思う、と横山氏は語る。
本筋のシリアスさとサブストーリーの笑いのギャップについても、今作では線引きを変えた。どちらかと言えばシリアスな作品として向き合っているという。現代劇であれば、ユーザーはどこまでがシリアスで、どこからがコメディなのかを自然に判断できる。しかし歴史的な時代背景で同じトーンのコメディをやると、当時をよく知らない人が実際の風習のように受け取りかねない。
そこで今作では、笑いを取りにいくというより、その時代が持つ「生々しさ」でユーザーを驚かせたいとしている。もちろんクスッと笑える仕掛けがまったくないわけではない、とも。プレイスポットもあえて少なくし、ある程度は時代的な嘘をつきつつ、当時に即したものを厳選して入れているという。
バトルについては、「難しくしたというより,新しいものにしたというのが正確」と横山氏は語る。完全新作を一から作るにあたって、大東 真という主人公と20世紀前半の世界に合う入力スタイルは何か、というところから考えた。「左右の操作を分ける」というシステムは、何年も前から温めていた企画だという。
時代を越えて持ち越せるものは物によりけりで、綺麗にリセットされるものもある。過去の時代に戻って取り逃したものを回収できないからこそ、横山氏は、メインストーリーを進めるだけでもプレイヤーごとに相当違うゲームプレイになっていくと見ている。イベントシーンや物語の大筋は変わらない。それでも、バトル中の動きや、街の人へ話しかけるときのカメラワーク、UIの作りによって、画面に残るものはプレイヤーごとに変わる。実況プレイでも、配信者ごとに「ゲームの中に映る画」がまったく違うものになるようにしたいというコンセプトがあった。




