小島秀夫監督が、2001年発売の『メタルギアソリッド2』で描いたデジタル社会について、「それが今、まさに現実となっていて」と語った。SNSがまだ普及していなかった時代に、SNSがある種の生命を持つような物語を描いたと振り返り、偽情報が政治や日常生活を変えてしまう現代の状況を、自身の作品と重ねている。
発言があったのは、10月14日にギズモード・ジャパンが公開した、映画『DIGGER/ディガー』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督との対談だ。小島監督は、イニャリトゥ監督の新作について、未来の空想ではなく現実に起きていることを描いた、恐ろしさを伴うコメディだと評価。映画と演劇が重なる複雑な構造にも驚いたと語った。その後、両監督が未来を予言するのではなく、現在の出来事を拡張して物語を描くという話題になると、小島監督は『メタルギアソリッド2』に言及した。
「2001年に『メタルギアソリッド2』というゲームを作ったんです。当時はまだSNSがなかったのですが、SNSがある種の生命を持つような、そんな物語を描きました。それが今、まさに現実となっていて、『DIGGER/ディガー』も同じですよね」
小島監督は続けて、SNSでは真実ではないものが膨張し、政治や人々の日常を変えてしまう恐怖があると指摘。『DIGGER/ディガー』にも構造的な共通性を感じたといい、自分たちが舞台の中に入り込み、何か別の力によって動かされているような恐怖があったと説明した。さらに、何が真実なのか分からないデジタル世界で、人々が右往左往している状況も恐ろしいと語っている。
小島監督は2025年12月公開のWIREDの質問動画でも、『メタルギアソリッド2』で描いたのはAIそのものではなく、デジタル社会の未来だったと説明。「こうなってほしくない」という思いから描いた未来に、現実が残念ながら近づいていると語っていた。
今回の対談では、イニャリトゥ監督も、人々がスマートフォンの中でそれぞれ断片化された真実を生き、共通の現実との接点を失いつつあると語った。映画を観ていない人でさえ作品について確固たる意見を持ち、その意見がさらに広がっていく状況を挙げ、実際には赤いものを、ある人々は黄色だと信じ、互いにその認識を増幅させていく様子に例えている。
小島監督はこの問題について、SNSにAIが組み込まれることで、自分の好みや考えに合う情報ばかりが目に入り、異なる意見や偶然の出会いが失われていくことにも恐怖を感じていると述べた。便利になり、自由になったはずの現代社会で、実際には出会えるものがますます狭まっていくという。その不自由さも、『DIGGER/ディガー』が描く世界と重なるものとして語っている。




