『ドラゴンズドグマ 2』で「不便」とも受け止められたゲームデザインについて、『ドラゴンズドグマ 2:ダークアリズン』プロデューサーの平林良章氏が、その根幹にあるのは「不便さ」ではなく「達成感」だと説明した。発売後のアップデートも、当初目指した体験そのものを崩すのではなく、プレイヤーがそこへ至るまでの遊び方を広げる方向で進めてきたという。
週刊ファミ通2026年9月17日号に掲載されたgamescom 2026でのインタビューにて、平林氏は『ドラゴンズドグマ 2』の設計思想について説明。「不便が体験のよいところ」であることを目指していたわけではないとしたうえで、もっとも重視していたのは「達成感」だと語っている。そこへ至るまでの過程として、冒険のなかにどのような苦難を用意するかを意識していたという。
この考え方について、平林氏は山登りを引き合いに出している。途中まで車で向かってから登ることもできれば、最初から徒歩で山頂を目指すこともできる。後者のほうが到達時の達成感は大きくなりやすい。『ドラゴンズドグマ 2』でも同じく、苦労の先にある手応えをどう成立させるかを念頭に置いて制作していたそうだ。
ただし、発売後にはその「苦難」への導き方に見直すべき部分もあったと説明している。平林氏は別の回答で、『2』が目指した体験の方向性そのものを否定するつもりはないとしつつ、開発側が楽しんでほしかった部分が、ほかの要素によって十分に楽しんでもらえなかった面もあったと説明。寄せられた声を踏まえ、各要素を見直しつつ、新規要素でも同じ問題を繰り返さないよう議論しているという。
この整理は、発売前に語られていた設計思想ともつながる。2024年3月、当時ディレクターを務めていた伊津野英昭氏はPlayStation.Blogのインタビューにて、『ドラゴンズドグマ 2』は「旅や冒険」そのものを楽しんでもらうためにデザインしており、目的地までの移動もその体験の一部だと説明していた。ファストトラベルの制限について問われた際にも、単なる地点間移動ではなく、旅として味わってほしいという考えを示している。
一方で、発売後には、そうした狙いがプレイヤーに「不便」という印象を与えたことも開発側から説明されている。ディレクターの木下研人氏は2026年7月のAUTOMATONによるインタビューで、「リアルな冒険感」を重視した結果、プレイヤーには「不便」という印象で受け取られる部分があったと説明。そのため、より長く楽しんでもらえるよう、遊び方の選択肢を増やす形でアップデートを重ねてきたとしていた。
今回のファミ通での発言では、そうした調整方針の背景として、地域ごとの反応の差にも触れられている。平林氏によると、日本と海外では寄せられた要望の傾向が大きく異なっていたという。大山直人プロデューサーも、「不便」という受け止めは日本やアジア圏で比較的強かった一方、欧米圏では同種の要素が「フリクション」として前向きに受け止められる例もあったと説明している。どちらか一方へ寄せるのではなく、異なる遊び方の志向を許容するためにも、選択肢を広げる方向で調整しているようだ。なお平林氏は、あくまで大局的に見た傾向の違いであり、どの地域にもさまざまな遊び方を好むユーザーがいるとも補足している。
こうした考え方は、『ドラゴンズドグマ 2:ダークアリズン』でも共通しているという。木下氏によれば、『ドラゴンズドグマ 2』のグランドコンセプトである「リアルな冒険感」や、困難を乗り越えた先にある達成感そのものは変えず、調整するのはあくまでそこへ至る選択肢だそうだ。
その具体例として挙げられているのが、ファストトラベルに使える「刹那の永久石」だ。何度も行き来する場所であっても、徒歩や牛車で世界をじっくり旅したければそのまま移動すればよく、すでに歩き尽くしたと感じるなら永久石を使うこともできる。開発側としては、山をどの道から、どの方法で登るのかという選択肢を広げて提供することが、現在の調整方針の根本にあるとしている。
また、ポーンが発症する「竜憑き」についても、システムそのものをなくすのではなく、緊張感は残しつつ、その状況とどう付き合うかという遊びの幅を広げる方向で判断をそろえているという。




