『ファイナルファンタジー レゾナンス』は、『FFBE』をベースにしたHD-2D作品だ。ただ、ファミ通.comの開発者インタビューで語られているのは、見た目の刷新だけではない。開発陣は、ワールドマップを初期から“絶対に死守する目標”とし、飛空艇で世界を冒険できる要素も必ず入れるものとしていた。街で装備を買うワクワク、宝箱を見つけるうれしさ、MPを使いながら進むダンジョン、ビジョンとの出会いまで、本作の作り直しは家庭用RPGとして世界を旅する手触りにも及んでいる。
“あのころの『FF』”は、ワールドマップと飛空艇から始まる
『ファイナルファンタジー レゾナンス』で開発陣が初期から“絶対に死守する目標”にしていたのが、ワールドマップだった。古屋海斗ディレクターは、“『FFVI』以降もドット絵の『FF』が続いていたら”というコンセプトを考えるうえで、当時の原体験として大きかったワールドマップと、飛空艇で世界を冒険できる要素は必ず入れようと決めていたと語っている。

このコンセプトは、単に見た目を懐かしくするためのものではない。中島啓輔プロデューサーは、いまは3Dの『FF』が主流である一方、“あのころの『FF』”や『FFVI』までが好きだという声もあると説明する。そこで、最新のドット技術で遊べるようにすれば、懐かしくも新鮮なゲームが作れるのではないかという思いから企画に至ったという。構想から数えれば5、6年、本格的な開発でも4年ほど。最初に企画書を出したのは2020年の少し前だったとされる。
だからこそ、ワールドマップと飛空艇は飾りではない。飛空艇が手に入って初めて行ける場所もかなりの数が用意されているといい、“あのころの『FF』”という言葉は、雰囲気だけでなく、世界を移動し、行ける場所が広がっていく体験として形にされている。
アプリのテンポは、そのまま家庭用RPGにはならない
『FFBE』をベースにするうえで、開発陣が向き合ったのは、スマートフォン向けRPGをそのまま家庭用ゲーム機へ移す難しさだった。中島氏は、アプリから家庭用ゲーム機へ落とし込むうえで、ほとんどイチから作り直しているような状態だったと説明している。
その大きな理由のひとつが、テンポの違いだ。『FFBE』のシナリオをそのままコンソールへ持ってくると、没入感やキャラクターへの感情移入が足りなくなるため、全体の大きな見直しが必要だったという。古屋氏も、アドベンチャーゲーム形式のストーリーをコンソールのRPGへ置き換える作業について、別のジャンルに乗せ替えるような難しさだったと振り返っている。群像劇や重厚なドラマを、主人公の主観で進むRPGの物語へ置き換える必要があったからだ。

作り直しは、物語だけでは終わらない。中島氏によれば、もともと世界観がそれほど強固に存在していなかったため、矛盾なく設定を足していく足場固めにも時間を割いたという。さらに、バトルはもともとウェーブ形式だったため、エンカウント頻度、ダンジョンの広さ、歩く速度、チョコボの速度まで、すべて0から微調整をくり返した。スマホで進むRPGを、歩いて、迷って、消耗しながら進む家庭用RPGへ変えるには、物語の見せ方から移動のテンポまで作り直す必要があった。
街で武器を探し、ダンジョンで息切れする
ワールドマップや飛空艇だけでは、家庭用RPGの冒険感は完成しない。新しい街に着いたら、まず武器屋をのぞく。ダンジョンでは宝箱を探し、道中でMPを使いすぎれば息切れする。『FF レゾナンス』の作り直しは、そうしたプレイの手触りにも及んでいる。
白神剛志ゲームデザイナーは、新しい街に着いたときの「何か強い武器は売っていないかな」というワクワクを、RPGにとって非常に大切なものだと語っている。『FFBE』では街での装備更新という要素は薄かったが、本作ではコンソールRPGとしての冒険感や、宝箱を見つけたときのうれしさを大事にしているという。武器や防具は店で買うものもあれば宝箱から手に入るものもあり、素体となるものを持って強敵を倒すとその武器が力を持つ、というやり込みも用意されている。

戦闘でも、道中の敵とボスの役割は分けられている。道中はサクサク進めつつも、MPを使いすぎると息切れするようにダンジョン全体でバランスを取り、ボスは手前にセーブポイントがあるため、負けてもすぐ再戦できる前提で歯応えを楽しめる戦闘にしているという。街で装備を整え、宝箱を探し、リソースを使いながら奥へ進み、ボスで試す。小さな判断の積み重ねが、家庭用RPGとしての冒険のリズムを作っている。

そのうえで、バトルと育成は一枚岩にならないよう調整されている。アビリティのカスタマイズ性が高いぶん、「このビルドにすれば絶対勝てる」とはならないよう気を遣ったと古屋氏は語る。土台には『FFV』のジョブシステムのような、アビリティを付け替えて育てる楽しさがありつつ、最終的に全員が同じ能力になるのを避けるため、『FFVI』のようなキャラクター固有技も用意されている。装備やアビリティの名称は『FFBE』から引き継ぐものもあるが、効果は本作のシステムに合わせてイチから再構築したという。
ビジョンは、ガチャ形式から“冒険の中の出会い”へ
歴代キャラクターを呼び出すビジョンも、入手の導線から作り直されている。光の祠を訪れる。サブクエストを進めて絆が芽生える。バトルを通じて新たなビジョンを得る。中島氏は、もともとがいわゆるガチャ形式だったものを、コンソールらしい出会いに変える必要があったと語っている。
この変更は、入手方法を変えたというだけの話ではない。中島氏が理想として挙げるのは、ひとりの主人公が筋道のある物語を歩み、歴代キャラクターがその主人公や周辺の物語を支える形だ。ビジョンは、単なる入手枠ではなく、主人公の旅の中で出会い、物語を支える要素として置かれている。

ビジョンについてはDLCなどはなく、プレイを進めればすべて手に入るようになっているという。歴代キャラクターのレゾナンスには『FFBE』のCG素材を活用しているが、縦画面から横画面用に調整するだけでも時間と工数がかかったとされる。ガチャ形式だった要素を、冒険の途中で出会うものへ置き直す。ここでも本作は、残すと決めた要素の置き場所から作り直している。




