スティングでディレクターやプロデューサー、広報などを務める渡辺氏は、Steamには当初試験的に参入したものの、現在では同社にとって最重要プラットフォームの一つになったと説明した。最後発だった『ユグドラ・ユニオン』Steam版が多くのユーザーに遊ばれ、その反応も予想を上回ったことから、PCプレイヤーを開発・販売の両面で重要な対象と捉えるようになったという。
RPG Siteが2026年7月23日に公開したメールインタビューでは、スティングに約18年在籍する渡辺氏が、同社のSteam参入から現在までの経緯を振り返っている。
スティングは、ソーシャルゲーム市場が急成長していた時期、一時的に開発の重点をスマートフォン向けタイトルへ移していた。その後はNintendo Switchの成功を受け、再び家庭用ゲーム開発に注力。『バロックシンドローム』や『ユグドラ・ユニオン』など、過去作品を現行プラットフォームへ展開していった。
当時、Steamは同社にとって主要な選択肢ではなく、ほかのプラットフォームとあわせて、試しに作品を発売してみるという位置づけだった。スティング初のSteam作品となった『ユグドラ・ユニオン』では、PC向けにゲームを販売するための知識や、プレイヤーごとに異なるハードウェア・ソフトウェア環境への理解が十分ではなかったため、ユーザーのフィードバックを受けながら改善できる早期アクセスを選んだという。
発売後には、ゲームが起動しない、音が出ないといった報告が寄せられた。こうした経験を通じて、幅広いPC環境を想定した開発の必要性を学んだ一方で、プレイヤーから意見や不具合報告が届く速さにも驚かされたとしている。開発者とコミュニティの距離の近さも、Steamならではの特徴として受け止めた。
『ユグドラ・ユニオン』は、日本向けAndroid・iOS版、Nintendo Switch版、さらに韓国語・繁体字中国語・簡体字中国語を追加したアジア版を経て、最後にSteam版が発売された。それでもSteam版は非常に多くのユーザーに遊ばれ、反応も同社の予想を上回ったという。なお、具体的な販売本数やユーザー数は明らかにされていない。
Steam参入の経験を通じて、スティングは自社IPの価値をあらためて認識すると同時に、新たなIPを生み出す重要性も意識するようになった。その成果の一つとして挙げられているのが、現在Steamで展開している新規IP『Viractal: Will You Trust Your Party?』だ。
『ユグドラ・ユニオン』Steam版への反応を受けて、PCプレイヤーは、スティングがゲームの開発と販売を考えるうえで、以前よりはるかに重要な存在になったとしている。




